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2006年05月29日

小旅行

sano_outlet.jpg東京駅から高速バスに揺られて80分、写真は佐野プレミアムアウトレットの街並です。
...とは言っても、私は買い物に行ったのではありません。

実は、目的は歯科の診察。
東京に住んでいるのに、なんでまた栃木県の歯科に?!と思われるでしょうけど、これにはそれなりの理由があります。

以前、私は東京・駒沢の歯科に通っていました。ところが担当医が実家の歯科を継ぐために、駒沢の医院を辞めてしまったのです。
じゃあしょうがないから違う歯医者、もしくは同じ歯科医院内で別の先生に...と普通ならなるはずですが、その医師に辿りつくまでに歯科で散々な目に会っていた私は(事の詳細に興味がある方は、以前に書いたエッセイ「正しい歯医者に出会うまで」http://www.NetLaputa.ne.jp/~akiko/myvoice3.html#TADASHII をどうぞ)、いまだに他の歯科医を信頼することができず、星の数ほどある東京の歯科を飛び越えて、その医師を追いかけて佐野まで行っているというワケです。

一通りの治療が終わってからも、その後は定期検診に佐野へ通ってかなり歯には神経質になっていましたが、治療が良かったので何の不具合も出ず、そうなるとゲンキンなもので、調子が良いことに甘えてしまい、すっかりご無沙汰していました。
ブラジルに行く前に親知らずを抜いてもらったのを最後に、この3年半、私は一度もどこの歯科にも行っていなかったのです。

しかしさすがにこの春、色々と心労が重なったことが災いしたのか、急激に歯肉の状態が悪くなって痛みが引かなくなってしまいました。
もともと、歯科は大嫌い。できれば行きたくないけれど、これは、先生に忘れられないうちにそろそろ行っとけ!という神様のお告げかも。。と思い、今回久々に出かけることにしたのでした。

数年前、そばに佐野アウトレットモールができて、東京から頻繁に高速バスが通っていることは、既にチェック済みだったので、以前に浅草から両毛線を使っていたよりは大分楽なはず。
早速、歯科に予約を入れて、アウトレットから佐野駅までは路線バスが通っていることを聞き(歯科は駅のそばなので)、ルートを確認して当日に備えました。

東京駅からの高速バスを利用したのは初めてでしたが、大きな渋滞にも会わず、時間通りの運行で、一眠りしていたらあっという間に着いてしまい、想像以上に快適でした。しかも片道1300円という安さ! 
電車より良いかも〜と思いつつ、まずはアウトレットモールでお昼を食べて、路線バスの時間を調べにバス停まで行ってみました。

するとバスは居れど、時刻表を見るとだいたい1時間半に1本くらいしかない... うーん、これはやっぱりタクシーで行くしかないか。
と思っていると、後ろで掃除をしているおじさんが、バスの運転手に話しかけています。
「よぉ!」
「おぉ、っったく暇だから眠くなっちまたよ〜」
「今日は暑いな!」
「そだなー」

佐野駅までの所要時間を知りたかった私は、その2人の世間話におずおずと
「あのー、バスは...」
と、入ってみました。

「このバス? 次は57分発!」
その時、1時20分。歯科の予約は2時です。うぅ...それでは間に合わない。
とりあえず、他のことも聞くだけ聞いてみようと思い、
「ここから佐野駅まで何分くらいかかりますか?」と切り出すと、
「バスなら25分、タクシーなら15分!」
いたって元気に明解に答えてくれるバス運転手のおじさんは、とても親切で、
「バスまだ出ないから、タクシー呼んでやろうか?」
えー?? 客待ちタクシーはいないの?
バスの運転手にタクシーを呼んでもらうなんて、申し訳なかったので、
「タクシー乗り場は...?」と、確か地図にあったあたりを私が見回すと、
「乗り場はあそこだけど、このへんのタクシーは、呼ばないと来ないよ。」
そこへ掃除のおじさんも加勢。
「呼んだって、すぐには来ないっぺ。けっこう時間かかんだよー 早めのがいいよ」
「電話番号は、乗り場の看板に書いてあっから。」
「いつでも言ってくれれば呼んでやるよ。」

わ、わかりました。。
「ありがとうございます」
陽気な栃木弁の2人にお礼を言ってその場を後にし、ショッピングモールをブラブラして時間調整をしてから、タクシーを呼ぶことにしました。
平日ということもあってお店はどこもガラガラ。
人はそこそこにはいるけれど、やっぱりマイカーで来る人のが多いようで、公共路線の充実を求めてはいけなかったんだなぁ(^^;)

そして、いざタクシー会社に電話してみると、
「15分くらいかかりますけど、お待ちいただけますか?」
...本当にすぐ来ない! ちょっと遅刻だなぁと思ってあきらめて待っていると、運良く10分くらいでタクシー到着。
ぴったり2時に歯科に着いたのでした。

約4年ぶりの歯科でしたが、医師はほとんど変わっておらず、相変わらず
「よくわかりました!もう説明してくださらなくても大丈夫です!」というくらい丁寧な診断説明をしてくれました。
結局、私の痛みは歯肉炎で、クリーニングをしてもらい、翌週にまた様子を診がてら、他に見つかった小さな虫歯1本の治療に行くことになりました。
私と医師が恐れていたのは、差歯にした前歯の根の先が、炎症を起こしたのでは...ということでした。
でも、レントゲンでは異常がなく、共にホッとしました。根治治療をやり直すことになると、大変なのですよ...

診察が終わったのは4時。
2時間も歯科にいるなんて〜!と思う方もいるかもしれませんが、これがこの医師のペースで、それがちっとも苦痛でないから不思議なのです。
これは、私が東京から来ているから特別なのではなく、他の人もみんな同じです。子供も老人も、誰に対しても。

「クリーニングをすれば、数日で落ち着くでしょう」
という医師の言葉通り、翌日にはほとんど痛みは感じなくなりました。
やっぱり病は気から...かな。 
でも、そうやって安心させてくれるのも、大事な医師の力量だと思うのです。

それにしても、歯科からアウトレットまでのタクシ−代が約1300円。
東京駅から佐野(アウトレット)までの高速バス代と同じって...タクシーは贅沢な乗物ですね。


2006年05月20日

村治佳織ライブを聴く

先日、村治佳織さんのライブを観てきました。
今までテレビやラジオで、彼女の演奏は何度となく聴いていましたが、コンサートは初めて。
あの力強い音色はどうやって奏でられているのかと、オペラグラスを持って楽しみに出かけました。

鮮やかなブルーの、フォールクローレっぽいラップスカートにパンツという凝った衣装で現れた村治さんは、あの若さからは想像できないほど、とにかくとても落ち着いていて、華のある女性でした。
まず第1部ではひたすら弾く。何も語らず、オーケストラが丸々入る広いステージにポツンとおかれたピアノの椅子に1人座り、ギター1本でマイクなし、なんの小細工もなく、時々、調弦を直しながら次々と曲を演奏し、技術1つで観客を魅了します。
そして第1部終了となり、ふと時計を見ると約50分も経っていたのです!
...あっと言う間でした。

15分の休憩が入ったのでロビーをちょっとウロウロとして、CD販売所で1枚CDを購入し(新作「lumieres」は持っているので、その前の「Spain」を入手)、MCはしないんだな〜と思って席へ戻ると、椅子の脇に小さな台が新たに設置されていて、その上にマイクが用意されているではありませんか!

ということで、第2部では1曲1曲解説や、最近の近況MCなどを交えながらのライブ形式になりました。
しかも、衣装も今度は白に淡いピンクのエレガントなパンツスタイルで、ガラッと雰囲気も変わり、引き続き新作「lumieres」からの楽曲を中心に、そこからさらに約1時間の演奏。
そしてアンコールは2度、ラストはタンゴで締めくくられました。

さらにこの後、CDを買ったお客さんにはサイン会をしてくれるとのこと。
年末だったか年始だったかに、村治さんは右手を痛めて演奏活動をしばらくお休みしていて、再開後も右手の静養のためにサイン会はしていないという話をHPで見ていたので、もう大丈夫なのかな?!と思いつつも、いそいそと列に加わりました。
100人くらいは並んでいたかな... お客さまは老若男女問わずという感じでしたが、サイン会には若い人が多かったように思いました。
目の前で見た村治さんは、びっくりするほど可愛く、この人がたった今、あんな凄い演奏をしていた人なの?と目を疑うほどでした。
女の私がそう思うのだから、男性ファンが多いのも、大変頷けます(笑)。

そして、びっくりはもう1つ。
2時間強のライブにサイン会。...なのに、この日のライブはなんと3000円だったのです!
下手したら素人のライブのが高いことだってありますよね。
申し訳ないというか、私はライブだけで6000円くらい払っても全然構わなかったし、それだけの価値があるライブだと思いました。
(厳密に言えば、サインはCD購入者だけなので、CD買って計6000円ですが...ということは、そこまで計算されているということかも?)

私が普段行っているブラジル人アーティストなら、8000円で約1時間しかやらないですよ〜
まぁ、渡航費がかかっているから仕方ないといえば仕方ないけれど...
クラシックギターのコンサートというのは、やっぱり敷き居が高いのかな。
気軽に聴きにきて欲しいという価格設定なのかもしれないけど、ぜひもっとこのジャンルが活性化して欲しい!と強く思いました。

かく言う私も、クラシックギターのインストは、それほど興味のあるジャンルではありませんでした。
ボサノバを自分で弾いていながら、日本人のいわゆる大御所と言われる方々のクラシックギターのインストは、素晴らしいのだけど、何となくピンと来なくて、若い人はどうなんだろう?と思って聴いたのが、村治さんでした。
彼女の「lumieres」には、好きなドビュッシーやサティの曲が入っていて、選曲も気に入った理由のひとつだったのですが、ライブを観てあらてめて感じたのは、彼女の演奏には、今まで私が聴いたクラシックギター・インストに多い”日本人臭さ”がない!
短調・長調どちらの曲も、日本人独特のなんとなく演歌っぽいノリがなく、かといって変にマニアックでもなく、たぶんボサノバに例えるなら、「ジョアン・ジルベルトは重いけど、小野リサは好き」という人が多い...そんな感覚に近いのかなと思いました。


最後に、とても残念だったこと。
それは、演奏中に観客の咳やくしゃみ、せき払い、物を落とす...などの騒音が大変うるさかったことです。
1度や2度ならまだしも、ほぼずーっと、誰かしらが何か音を立てているんです。
ホールは、もともと響くようにできているので、本人はさほどと思ってなくても、ちょっとしたくしゃみがまるでバックの中の小型爆弾が爆発したかのような大きな音になって、ちょうど演奏の良い”間”のところに響いてしまったりして、私は気が散ってイライラしてしまいました。
さすがに携帯を鳴らす人はいなかったけど、せめて口をタオルで押さえるとか、努力をして欲しいです(=おじさん達)!
ジョアンの時は、そんなことでジョアンが怒って帰ってしまったら大変だとみんな思ったのか、想像以上にシーンとしていたから、余計にそう感じたのかもしれませんが... 映画館だって、あんなにうるさくないと思いますよ?
村治さんも、
「集中できないから、今日は帰るわ!」なんて言ってステージから降りてしまったりしたら、みんな静かに聴くかも...
それも格好良いかも、ですよね(笑)。

それにしても、私が持っているギターで、こんな曲が弾けるんだ...とわかった今、私のギターには本領を発揮させてあげられなくて申し訳ない気持ちです(^^;)
ギターって、奥が深いなぁ〜
また次回、彼女の素敵な演奏に酔いに行きたいと思います。

2006年05月13日

雨でした

soupcurry.jpg冬の間はお店の都合でお休みになっていた二子玉川のカフェ・フーケでのライブ、本日が今年初登場だったのですが... 見事に雨でした。

なぜ「冬はライブがお休みか?」というと、このカフェでのライブは、店内ではなく、中庭のテラス席が会場なのです。
気候の良い時は本当に気持ちよくて、店のガラスドアをすべて開け放って、開放感溢れる空間になるのですが、逆に真冬は寒くてテラス席では演奏する方も聴く方もツライ。それにお店側のガラスドアも開けられず、店内のお客さまには聴こえないし...という訳なのです。

ところが、今日は昨年の11月より寒かった... 手がここごえました(涙)
後半は、店長のお気遣いで、店内で演奏させていただきましたので、生き返りましたが...

そんな中にわざわざ来ていただいて、テラス席で聴いてくださったお客さまたち...本当にありがとうございました!

夕食は、カフェの向かいのカレー専門店アチャカーナのスープカレー。
冷えた体がホカホカに温まりました(^^)

さて、来月からフーケは、定期的に第3土曜日の出演になります。
そして、来週5/16には、大塚のエスペトでライブです。
こちらは、雨でもヤリでも大丈夫!の室内演奏ですので、ぜひ遊びにいらしてください!

■5/16(火)Espeto Brasil
http://espetobrasil.hp.infoseek.co.jp/
〜JR大塚駅より徒歩3分 
  ◇ 出演 柳沢暁子(Vo&Gr)
岡野勇仁(Pf)http://www.11piano.com/
柳元武司(Per)
  ◇ Charge)1500円
  ◇ Open)19:00〜   Live start) 19:30〜(40分ステージ×2回)

2006年05月09日

17歳バトン

音楽仲間のferiadoさんからいただいた17歳バトンです。

☆Q1:17歳の時、何をしていた?

都内の私立女子高生でした。
軽音楽部に入りたかったのに、両親に反対されて仕方なくフォークギター部に入り、
それでもあきらめきれずに、女の子バンドを組んで年に数回、都内のライブハウスに出ていました。
そして結局、私が入ることになっていた軽音楽部のバンドがメンバーが見つからず、
予定通りにキーボードを弾くことになってしまったので、
正規メンバーではないけれど、クラブに2つ属していたようなものでした。

練習はスタジオ代を浮かすために、フォ−クギタ−部の部室と、軽音楽部の部室をフル活用していました。
ほぼ毎日、朝の6時に学校に行って、ドラム叩いたりエレキ弾いたりして近所から苦情が来たり、色々ありましたね。
でもおかげで、バンドの楽器はひと通りここで触りました。

フォークギター部の方は、部長にまでなってしまい、学祭時期は忙しいながらも楽しい経験をさせてもらいました。
3人のグループで弾き語りをして、ユーミン、オリジナル、大江千里などなどを歌っていました。

ということで、ほとんど音楽のためだけに生きていた時代です(今もそうだけど(^^;) 


☆Q2:17歳の時、何を考えてた?

音楽に没頭する一方、全員が同じ制服を来て、同じカバンを持って、同じ時間に学校に来て、
同じ勉強して...と思うと、息が詰まるように感じていました。
こんなことを考え過ぎて神経性胃痙攣になり、
勉強と音楽以外の時は、ほとんど本を読んで過ごすことが多かったです。
サリンジャー、太宰治、あとは有名な「幸福論」などの哲学書とか...何か答えを見つけたかったのかな。
教室内では、おとなしい方だったと思います。


☆Q3:17歳でやり残したことは?

音楽の基礎勉強。
例えば、ピアノももっと本格的に学びたかったし、声楽も基礎から声楽家について勉強したかった。
音楽理論、音楽史、体の使い方をもっと若い時から知っていたら、だいぶ違った気がします。
あとは、英語。
どうせまだポルトガル語には出会っていなかったので、英語が楽しいと思わせてくれるような
指導者に出会いたかったです。


☆Q4:17歳に戻れたら何をする?
上記の音楽基礎勉強をして、ヨーロッパの音楽大学に留学してみたいです。
または、猛勉強して、医者になりたい。


☆Q5:17歳に戻っていただく5人

迷ったのですが、こちらの5人にさせていただきました。
もしよかったら、受け取ってください。
ご自分のブログ、またはこちらのコメントに投稿していただければと思います。
昔のことは忘れた!という方は、スルーしてくださいませ。

1)私のCDイラストを書いてくださった今井有美さん
2)フルートでいつもお世話になっている大野さん
3)実はけっこう長い付き合い:ナナさん
4)ご無沙汰しています:ととさん
5)かわいいパピヨン・ブログを開設しているぱぴぱぴさん

2006年05月07日

プロならば

時々、こんな私でもプロのヘア&メイクさんに髪のセットと化粧をしてもらうことがあります。
すると、必ず言われることが3つ。
「髪が多い」「眉毛の形が悪い」「睫毛(まつげ)が上を向きにくい」!

髪が多いにもかかわらず、あまり梳(す)いていないのには、理由があります。
私はくせ毛なので、あまりに今風に梳き梳きにしてしまうと、広がってどうにもならなくなるからです。
「くせ毛は、ある程度は重さがあった方が落ち着く」というのは定説で、私の髪を切ってくれている美容師(私はパーマとカットで別々の2軒の美容院に行っているので、2人)たちは、その中のギリギリの線で、いつもなんとかしてくれているのでした。

でも、一応はブローで落ち着いている私の髪を、その日初めて見たヘア&メイクさんは、
「なんでこんな重いスタイルにしてるの?」
と、純粋に思うらしく、前述のようなコメントになるわけです。
いやいや、美容院でその場しのぎのスタイルにしてもらって、美容師自身は満足したとしても、それから後の毎日に格闘するのはこの私。
事情をいつも説明するのだけど、哀しいかな皆さん、いぶかし気なんだよなぁ。。


「眉毛の形が悪い」「睫毛(まつげ)が上を向きにくい」は、生まれもった形であるからに、仕方ありません。
眉毛は、「好きなようにカットしてください。難しいから適当にしてあるので...」
と言って、とりあえず納得してもらい、
睫毛は、「ホットビューラーと、ウォータープルーフマスカラで大丈夫ですので、それで。」
と言うと、あっさりその通りにしてくださってます。。

しかし。
これって、客が言うべきことでしょうか?? 私の方が相談したいくらいなのに...(^^;)
「いつもどうしてるんですか?」と私に聞くのも良いけれど、プロなら自分でなんとかするべきです。
「すいませんー、面倒で〜」と言いながらやってもらうのって、テンション下がります。
もちろんすべての方がそうではありませんが、こういう場合は、とてもガッカリしてしまうのです。

とはいえ、髪が多いのは、実はけっこう一般的に見ても重すぎるのかな〜、他人の意見も謙虚に聞くべきかしら?とも思い、先日、美容院で
「いつもそう言われるので、もっと軽くできますか?」
と聞いてみました。すると私の担当の美容師は、
「えー、そうですか? そんなことないと思いますよ。
 たぶん、ヘア&メイクさんはスタイリングしかしないから、やりずらいってことでしょう。
 それをやるのがプロなんだから、まとめにくくても頑張ってもらわなくちゃね。」
と言ったのです。

激しく同感!
私が今の担当の美容師を尊敬してずっとお願いしているのは、たとえどんなにやりずらくても、手に負えないような髪でも、決して「ダメ」とか「無理」とかの否定的な言葉を口にしないことです。
それまで、私はたいていの美容師に
「髪が多い」「髪が細い」「扱いずらい」「くせが強い」から、〜しずらいと、言い訳ばっかりされてきました。
でも、お客が肩身の狭い思いをするなんて、どこか変ですよね。

以前、何かの雑誌の美容エッセイで、
「パリの美容院はお客を決してけなさない。誉めて誉めて誉めまくって帰す」というのを読んだことがあって、私は、これって大きな違いだなぁと思ったことがあります。

綺麗になりたくて来ている美容院で、けなす(とまでは行かなくても、自分ではどうにもならない外見上の不具合を指摘して、そのせいでうまくいかないと言う)のは、いかがなものでしょうか。
指摘して、より良くなるためのアドバイスをしてくれるのならばまだしも(そういうケースもあるけど、トンチンカンだったり、そんなのやってるよ!というようなあまりにベタすぎるものだったりして、適切なのは少ない)、
「だから、上手くできない」という言い訳にされて、おしまいです。
そりゃまぁ、問題ないに越したことはないけど、そんな人は少ないでしょうし、問題があるからこそやり甲斐があって、それを何とかできるからプロなんですよ、ね。

こういう時、私はいつも自分の仕事に置き換えて考えてしまいます。
音楽でも、同じなんです。
私は現在、ボサノバの歌とギターを教えていますが、レッスンに来ている生徒さんたちに、
「声質が悪い」「背が低い、太っている、痩せているから無理」「あなたは頑固だからダメ」
などと私がいつも言っていたら、生徒はあっと言う間にゼロになっちゃいますよ!
例えば、
「姿勢が悪い」、「口の使い方が違っている」「呼吸がうまくいっていない」のようなもともとの体質以外の要素はいくらでもどうにでもできるので良いですが、生まれ持っての体質と、そうは簡単にかわらない性格についての場合は、NGです。
(それでも、「〜が悪い」「〜がダメ」という言い方はせずに、「今は〜になっているから、次は〜してみましょう」という風に言うようにしています。この方が否定されたようには感じないですよね)

実際、前の歌の先生を辞めた理由を話してくれた私の生徒さんたちによると、「声質が悪いと言われた」「あなたの声はこういう曲に向いていないと言われた」というのがトップなんです。 たぶん、その先生だって悪気はなかったのでしょうし、間違ったニュアンスで伝わってしまったのかもしれませんが...
でも、生徒さんたちは少しでも上手くなりたいから習いに来ていて、そして、先生はそれをなんとかする”仕事”として受けているのですから、結果的にマイナスに受け取られてしまうのは、残念なことです。


じゃぁ、お世辞を言い続けるの〜??というと、そうではなくて、物は言いよう、言葉は表現力の数だけ存在します。

私の美容師も、私の髪が多くて扱いにくいことは、重々わかっています。
それでいて、私が気紛れで時々「髪を短くしたい、前髪を作りたい!」などと言うと、
「短いと、くせ毛だから広がってまとまらなくなりますよ、前髪も広がってしまうから
 こういう髪タイプの人はね〜、あるとかえって重くなりますよ」
とは言わず、
「柳沢さんは、髪が長い方が雰囲気に合っていて素敵。前髪も、作らない方が良いと思います」
と言うのです。
後者の方が、「そうか、そうか」と気持ちよく納得しませんか?(たとえ、それが違っていたとしても笑)

その道のプロとは、どんな状況においても最善を尽くして、お客さんを満足させることができる人!
他人に対しても、自分対しても、いつも良い面を見ることができる人になろうと、肝に命じる私なのでした。

2006年05月02日

連休前半

Beconia.jpg天気が良かったり悪かったりした連休前半ですが、のんびりと近場で過ごす連休です。

初日には、上野の国立博物館の「最澄と天台の国宝」展へ。私が一番興味深く思ったのは、平安時代〜の巻き物の漢字が、とても美しかったこと。国文科だった大学時代に古文書を読むことがよくありましたが、その時はあんまりそうは思わなかったのに... 
よみにくい平仮名に比べて、漢字ははっきりと楷書体で書かれているので、現代人にもちゃんと読めます。はるか昔も、同じ字を書いて、読んでいたんですね。

その後はプラド美術展へ行くはずが、あまりの陽気の良さにどうしても動物園に行きたくなり、たぶん10数年ぶりに上野動物園へ。
こちらもびっくり、最近は、動物園も変わったんですね。色々な確度から動物が見られるように工夫がされていて、ただ単に檻のむこうから眺めるだけじゃないのです。できたてホヤホヤの「くまの丘」でも、ツキノワグマの赤ちゃんがヨタヨタしててかわいかった!
「動物園は、臭い」というイメージしか持たなかった私には、衝撃でした。

翌日は、某寺に厄払いへ。
家族の入院(犬も含む)が重なったこともあり、大事に至らなかった御礼参りも兼ねて、もう一度お払いをしてもらいに行きました。
休日に寺に来る人なんて...それがけっこういるのですよ! それも、お払いに来る人が。
世の中、色々ですね。うちだけじゃないんだな、大変なのは。と思ったのでした。
本堂の畳に座り、目を閉じて念仏の合唱と太鼓の響きに身をまかせていると、なんとも不思議な心地よさを感じました。