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村治佳織ライブを聴く

先日、村治佳織さんのライブを観てきました。
今までテレビやラジオで、彼女の演奏は何度となく聴いていましたが、コンサートは初めて。
あの力強い音色はどうやって奏でられているのかと、オペラグラスを持って楽しみに出かけました。

鮮やかなブルーの、フォールクローレっぽいラップスカートにパンツという凝った衣装で現れた村治さんは、あの若さからは想像できないほど、とにかくとても落ち着いていて、華のある女性でした。
まず第1部ではひたすら弾く。何も語らず、オーケストラが丸々入る広いステージにポツンとおかれたピアノの椅子に1人座り、ギター1本でマイクなし、なんの小細工もなく、時々、調弦を直しながら次々と曲を演奏し、技術1つで観客を魅了します。
そして第1部終了となり、ふと時計を見ると約50分も経っていたのです!
...あっと言う間でした。

15分の休憩が入ったのでロビーをちょっとウロウロとして、CD販売所で1枚CDを購入し(新作「lumieres」は持っているので、その前の「Spain」を入手)、MCはしないんだな〜と思って席へ戻ると、椅子の脇に小さな台が新たに設置されていて、その上にマイクが用意されているではありませんか!

ということで、第2部では1曲1曲解説や、最近の近況MCなどを交えながらのライブ形式になりました。
しかも、衣装も今度は白に淡いピンクのエレガントなパンツスタイルで、ガラッと雰囲気も変わり、引き続き新作「lumieres」からの楽曲を中心に、そこからさらに約1時間の演奏。
そしてアンコールは2度、ラストはタンゴで締めくくられました。

さらにこの後、CDを買ったお客さんにはサイン会をしてくれるとのこと。
年末だったか年始だったかに、村治さんは右手を痛めて演奏活動をしばらくお休みしていて、再開後も右手の静養のためにサイン会はしていないという話をHPで見ていたので、もう大丈夫なのかな?!と思いつつも、いそいそと列に加わりました。
100人くらいは並んでいたかな... お客さまは老若男女問わずという感じでしたが、サイン会には若い人が多かったように思いました。
目の前で見た村治さんは、びっくりするほど可愛く、この人がたった今、あんな凄い演奏をしていた人なの?と目を疑うほどでした。
女の私がそう思うのだから、男性ファンが多いのも、大変頷けます(笑)。

そして、びっくりはもう1つ。
2時間強のライブにサイン会。...なのに、この日のライブはなんと3000円だったのです!
下手したら素人のライブのが高いことだってありますよね。
申し訳ないというか、私はライブだけで6000円くらい払っても全然構わなかったし、それだけの価値があるライブだと思いました。
(厳密に言えば、サインはCD購入者だけなので、CD買って計6000円ですが...ということは、そこまで計算されているということかも?)

私が普段行っているブラジル人アーティストなら、8000円で約1時間しかやらないですよ〜
まぁ、渡航費がかかっているから仕方ないといえば仕方ないけれど...
クラシックギターのコンサートというのは、やっぱり敷き居が高いのかな。
気軽に聴きにきて欲しいという価格設定なのかもしれないけど、ぜひもっとこのジャンルが活性化して欲しい!と強く思いました。

かく言う私も、クラシックギターのインストは、それほど興味のあるジャンルではありませんでした。
ボサノバを自分で弾いていながら、日本人のいわゆる大御所と言われる方々のクラシックギターのインストは、素晴らしいのだけど、何となくピンと来なくて、若い人はどうなんだろう?と思って聴いたのが、村治さんでした。
彼女の「lumieres」には、好きなドビュッシーやサティの曲が入っていて、選曲も気に入った理由のひとつだったのですが、ライブを観てあらてめて感じたのは、彼女の演奏には、今まで私が聴いたクラシックギター・インストに多い”日本人臭さ”がない!
短調・長調どちらの曲も、日本人独特のなんとなく演歌っぽいノリがなく、かといって変にマニアックでもなく、たぶんボサノバに例えるなら、「ジョアン・ジルベルトは重いけど、小野リサは好き」という人が多い...そんな感覚に近いのかなと思いました。


最後に、とても残念だったこと。
それは、演奏中に観客の咳やくしゃみ、せき払い、物を落とす...などの騒音が大変うるさかったことです。
1度や2度ならまだしも、ほぼずーっと、誰かしらが何か音を立てているんです。
ホールは、もともと響くようにできているので、本人はさほどと思ってなくても、ちょっとしたくしゃみがまるでバックの中の小型爆弾が爆発したかのような大きな音になって、ちょうど演奏の良い”間”のところに響いてしまったりして、私は気が散ってイライラしてしまいました。
さすがに携帯を鳴らす人はいなかったけど、せめて口をタオルで押さえるとか、努力をして欲しいです(=おじさん達)!
ジョアンの時は、そんなことでジョアンが怒って帰ってしまったら大変だとみんな思ったのか、想像以上にシーンとしていたから、余計にそう感じたのかもしれませんが... 映画館だって、あんなにうるさくないと思いますよ?
村治さんも、
「集中できないから、今日は帰るわ!」なんて言ってステージから降りてしまったりしたら、みんな静かに聴くかも...
それも格好良いかも、ですよね(笑)。

それにしても、私が持っているギターで、こんな曲が弾けるんだ...とわかった今、私のギターには本領を発揮させてあげられなくて申し訳ない気持ちです(^^;)
ギターって、奥が深いなぁ〜
また次回、彼女の素敵な演奏に酔いに行きたいと思います。

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コメント

村治佳織さんのCD、私も2枚持っています。
ライヴはまだ行った事がありません。AKIKOさんのお話で是非行きたくなりました。
一応私もギター弾き、彼女のCDを始めて聞いたとき、その音数に驚かされました。
天才だと思います。

>それは、演奏中に観客の咳やくしゃみ、せき払い、物を落とす...などの騒音が大変うるさかったことです。
これは日本の恥ですね。クラッシック関係の環境整備というか、親の躾がないというか、機会もないというか・・・
ベルリンフィルのピクニックコンサートみたいな環境が日本にもあれば、正しい音楽鑑賞の仕方が身につくと思います。
最初からは静かにしろ!では身につかないのでしょうね。
そして、ホールでの携帯のマナーの悪さも閉口です。よくコンサートで「マナーモードにして下さい」と言っていますが、
あれは決してマナーではない! 「ブ〜ン、ブ〜ン」皆さん良くお分かりと思います。
多く語ってしまいました。申し訳ございません

はじめまして。私はイギリス在住で、ロンドンでボサノバを歌っています。よろしくお願いします!

去年日本へ里帰りしたときに小野リサさんのコンサートへ行きましたが、小さい子供連れの方がいらして、じっとできない子供をしかりつけたりしていて、うるさくてコンサートに集中できませんでした。イギリスだと、こうした静かなコンサートは子供をつれていきません。子供はうるさくするもので、それを静止させようとするのは無理だからです。
コンサートの間中、イライラした記憶だけしか残りませんでした・・・・

そんなことを思い出したのでコメントさせて頂きました。私のブログにも是非遊びにいらしてください。

>クリントンさま
村治さんのコンサート、今度ぜひ足を運んでみてください!
パフォーマーとしての力量も素晴らしいです。

演奏中だから静かにしなくては...というのは、一応はみなさん思っているようで、村治さんが調弦を直している時などには、突然多くの人たちがせき払いをしたりして、思わず笑ってしまう一場面もありました。
「いけない!」と思うと、余計に喉がムズムズしてしまったりしますから(^^;)

>Yukikoさま
こんにちは 初めまして!
イギリスでボサノバを歌っていらっしゃるんですか!
こちらこそよろしくお願い致します。

欧米には、幼児は預けて大人だけコンサートを楽しむという文化が定着しているので、良いですよね...
日本だとまだ、「子供を預けて遊んでいると思われる」という違いもあるのかもしれません。。

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