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2008年05月26日

大きな手

20080526.jpg私は手が大きい方です。
同じくらいの女性もわりといらっしゃいますが、これ以上大きいという人には、ほとんど会ったことがありません...

具体的には、左右の手とも、広げると親指の先から小指の先まで直線で20センチ。
これはピアノの鍵盤でいうと、ドからオクタ−ブ上のドを越えて、その隣のレまで余裕で届く長さです。
さすがにド〜ミは無理ですが、たぶん身長170センチ前後の平均的な男性の手ぐらいはあるんじゃないでしょうか。


なので、ギターを弾いているのを観たお客さまからも、
「手、大きいですね〜」
と、よく驚かれることがあります。


本当は小さい手の方が女性としては可愛いんだろうなと思いますが、とりあえずは楽器演奏に有利ではあるので、私の場合は両親には感謝しましょう(笑)。
でも、手が大きいからといって、上手に弾けるとは限らないのが難しいところ!
要は使い方の問題なので、大きけりゃ良いというものでもないのです。

よって、ギターを始めようかな...と考えている女性から、
「手が小さいんですが、弾けるでしょうか」
と聞かれると、私はいつも
「手の大きさは、関係ないです」
と答えています。
デカ手の私が言うのは説得力がない?!かもしれませんが...
うーん、でも手の小さな人で、ギターが素晴らしく上手な方々はたくさんいらっしゃいますし、極端に小さい場合は別ですが、おそらくピアノでオクターブが届けば(これで、だいたい16センチ)、ボサノバを弾くのには問題ないと思います。


ジャズピアニストの綾戸智恵さんは、手が小さくてピアノのオクターブが届かないのだそうです。
それでクラシックを諦めて、ジャズへ転向したそうですが、そんなことは微塵も感じさせないほどの見事な弾きっぷりですよね。
ギターも、リュート時代の曲や、もともとピアノ曲だったものをギター用にアレンジしたクラシック曲は難しいので、残念ながら突き詰めるところ手が大きくないと弾きにくい...という壁にぶち当たることはあるかもしれません。

でも、ボサノバはジャズと同じように、自分でバッキングをアレンジすることができるのです!
どうにもこうにも届かない!ところは、届くようにコードを変更すればOK。
しかしそれよりも、ちゃんと練習すれば、ボサで手が届かないコードというのは、たぶん...無いです。
だから、女性の小さめの手でも大丈夫なんですよ。


他にも、「握力がないから」という理由を挙げる方も時々いらっしゃるのですが、基本的にギターに握力も関係ありません。
男性が、独学でなんとかギターを弾いてしまう方が多いのは、大きな手と豊富な握力の為せる業だと私は思っていますが、それに頼ってしまうことが無理を重ねることに繋がって、手を傷めるなどの問題を招くことも時にはあります。
小さい手の方は、頼るものがない分、手や指の使い方を工夫すれば良いのです。
そして、それが結果的に上達への近道になったりするので、一概に手の大きさの良し悪しとは言えないな〜と思います。


体が大きい方がよく声が出るとか、若くないと上達しないとか、そんなの関係ないっていうのは気休めだとか...(笑)
色々な見解があるかとは思います。
でも、結局は「自らに制約を設けない人が上手くなる」のではないでしょうか。
自分ではどうすることもできない体型や年齢を理由にあきらめてしまうのは、もったいないですよね。


私が今まで師事したり、現在も師事している音楽の女性師匠たちは、私よりも小柄だったり、2まわり近く小さな手の方ばかりですが、私なんぞが一生かかっても到達できないような素晴らしい技術を持っていらっしゃいます。
そんな師匠を前にして、「できない」なんて口が裂けても言えない(笑)!
ということで、このデカ手を存分に生かせるように、しっかり精進したいと思うのでした。


2008年05月19日

ボサノバ・ワークショップ

20080520.jpgボサノバを原語(ポルトガル語)で歌ってみませんか?
今夏、よみうり文化センター自由が丘にて、ボサノバ・ボーカルのワーワークショップを行います。
初回は、誰もが一度は歌ってみたいあの名曲『イパネマの娘』。
長期的にはレッスンに通えない...できるかどうかわからないけど歌ってみたい...
そんな方にも、お気軽に参加いただける特別講座です。


【ボサノバ・ワークショップ 〜「イパネマの娘」を歌う〜】
●全2回完結講座
●女性限定のグループレッスン(定員8名)
●レッスン最終回には、個別のご質問等にお答えするためのティータイム有り。 
●講座終了後に、希望者にはライブハウスのセッションにご案内。
(セッション参加費¥2,000〜は別料金です)

お申込み・お問い合わせ・講座開催場所)
●よみうり文化センター自由が丘
 東京都世田谷区/自由が丘駅より徒歩2分
 TEL(03)3723-7100(5/20〜受付開始)

日時)
●昼クラス  2008年7/8(火)・29(火)
 13:30〜15:00
●夜クラス  2008年8/8(金)・22(金)
 19:00〜20:30

料金)
●入会金なし
●受講料 7,350円(お茶&お茶菓子代を含む)
●設備維持費 315円(2回分) 
●教材費  300円(練習用CDR、コピー代)

講師)柳沢暁子

(*写真はイメージです)


2008年05月09日

体の使い方

20080507.jpg今までのブログ記事の中で一番反響の大きかったのは、2006年7月に掲載した「左手生活」です。
これは、私が石灰沈着性手首関節炎になった時のことを書いた話なのですが、かれこれもうすぐ2年にもなるのに、今も月に数回は「この病院を教えて」というメッセージをいただきます。
あまりに多いので、すべてUPはせずに直接お返事していましたが、今月を機にお返事するのを止めることにしました。


なぜって、意地悪じゃありませんよ(笑)。
すでにブログを書いた当時からかなりの年月が経っていて、私はそれきり、もう通院していませんし、この病院が今も適切な治療を行っているのかもわかりませんし、私の主治医だった医師が今も診察しているのかもわかりません。
未確認な情報を無責任に提供するのは、どうかな...というのと、もう1つの大きな理由は、
「病院を教えることが、根本的な解決にはならない」と思ったからです。


石灰沈着性の関節炎は、手首や肩などの関節付近によく起こる、反復性の高い症状です。
「これといった原因はなく、体質による」と言われます。
でも私は、今はもう完全に症状が出なくなりました。
それは「体質が変わった」から?? 
いえいえ、そうではありません。
「体の使い方を変えた」からです。

当時の私には、病院へ行くほどではないものも含めた体の痛みが、手首以外にもいくつか起った事がありました。
それは、もうさほど重要視しなくなっていたり、あきらめていたり、そんなもんだと思っていたり、良い時と良くない時があったり...
でも、やっぱり痛くない方が良いに決まっています。
だから何とかしたくて、色々と勉強し、情報を探しまくったのです。


そして辿り着いたのが「ボディ・マッピング」でした。
これは、人間の体の構造を正しく学び、構造に反した使い方をやめて、機能的に体を使えるようにするという画期的な内容でした。
そして文献を読むほどに、この考え方は、武術(柔道、剣道、合気道、馬術など)やリハビリ等の場で使われている考え方とまったく同じであることがわかりました。
武術は、ひとたび間違えると怪我をしますよね。
リハビリは、故障からの復帰... 体の機能を取り戻したり、それ以上痛めないようにするためのものです。
普段の生活では、武術や怪我などの極端な体の状態になるようなことはしませんが、実はそういう普通の人ほど、間違った体の使い方をしている可能性が高いのです。
その小さな積み重ねが、実は怖いのですよ。
実際に症状に出た時は、かなり慢性化しているので、本人もつらいし、治りにくいのです。


例えば、これは私がギターの生徒さんによくする話ですが、
手(指も含む)は、親指ではなく小指が主導で動くようになっています。
   は?? 
と思われる方も多いでしょうけど、まぁ、簡単なことなので聞いてくださいね。
何か物を手全体で握る時、親指&人差し指側から指を握っていくのと、小指側から握っていくのでは、手の使い方は明らかに違います。
ゴルフのグリップは、小指側から握って...と言いますよね。
テニスのグリップもそうですね。
親指&人差し指側から握って行くと、手首も腕もよく動かず、スポーツでは怪我をします。
ギターでは怪我まではいきませんけど、ひどくなれば腱鞘炎になりますし、何よりも上達しません。
このように、「どうやって体は動くようにできているのか?」ということを理論的に学ぶのが「ボディ・マッピング」なのです。


そして、手だけ学んでも、意味はありません。
体全体の総合作用を理解する必要があります。
ちょっと解剖学みたいな感じなのですが、決して難しくはないんですよ。
本を読んで、「そもそも私は、体の使い方が間違っていたんだ...!」と気が付いた私は、
生活の全てにおいて自分の体の使い方を改めることにしました。
体は本当に奇跡の如くによく出来ていて、それを理解・実践するのはとても楽しく、
日々の生活上での自分の行動を注意深く観察して、研究して、直して、そして気がつくと...
手首の痛みも、他の症状もまったく起らなくなりました。
(思い起こせば、この関節炎のきっかけはペンの持ち方の悪さだったようで、今も私は文字を書く時には特に注意しています。不思議とギターを弾くのには影響はなかったのですが、悪化すれば弾けなくなっていたかも...!)


よって、私の関節炎が治ったのは、病院のおかげではありません。
こんなことを書くと医師に申し訳ないようですが(苦笑)、結局、関節炎を治すのは自分なのです。
(自分のせいじゃない関節の病気もありますので、その線引きは必ず医師に判断してもらってください)
もちろん、急性の痛みを取り除き、注意を促してくれた医師にはとても感謝しています。
でも、その後をどうするか...繰り返すのか、完治させるのかは、自分次第なのです。

いくら注射や薬で症状が楽になっても、それは単に薬の力の一時的な現象です。
関節炎が起こるような体の使い方を続けていたら、薬剤が切れれば、また同じ様に同じ場所に炎症が起こります。
それから、よく言われる「無理をしたから痛くなった」「頑張りすぎて痛めた」は、大きな間違いです。
もともと、体は使い過ぎても壊れないように、痛まないようにできているのだそうですよ。
普通の人では想像もつかないようなトレーニングを重ねるプロのアスリートや、難しい業を極める職人さんたちは、無理をしていないのでしょうか? なるべく体を動かさないように休み休み生活しているのでしょうか? 
...そんなことありませんよね。
ちょっと使いすぎて痛くなってしまうようだったら、あなたは一生、自分の動作に制限を設けて生きていかなくてはなりません。そんなの、イヤですよね。
しばらく休めば当然、その時は良くなりますが、間違った動きを始めれば、元の木阿弥です。
だから、「体を痛めないように体を動かす」ことが大切なのです。


ということで、急性期のひどい症状は、注射や薬で抑えた方が後の治りは早いので有効ではありますが、
根本的な原因が改善されない限りは、完治はあり得ません。
どんなに良い医者に診てもらっても、どんなに良い薬があっても、残念ながら解決はしないのです。
いくら頑張って海を綺麗にしようと浜辺のゴミを拾っても、川の上流でゴミや汚水の不法投棄が慢性的に続いていたら、どんなに掃除をしても無駄なのと同じです。


これといった原因の見つからない関節炎でお悩みの方は、ぜひ自分の体の使い方を根本から見直してみてください。
あなたがツライのは、そこ1カ所だけではありませんよね?
他にも、痛みがあったり、不快な場所があるはずです。
みんな原因は同じかもしれませんよ。


今まで何十年としてきた事を変えるのは、とても根気のいることですが、それで炎症の苦しみから解放されるんですから、決してそれは苦しいことではないですよ。
もう遅い、なんてこともありません。いつからでも始められます。
「ボディ・マッピング」は、「アレキサンダー・テクニーク」とセットになって論じられるもので、関連書籍はたくさん出ていますので、探してみてください。
これに限らず、武術など体全体を使う術を習っても良いでしょうし、体の構造を熟知しているスポーツインストラクターに相談するのも有効でしょう。
悩める皆さんに、1日も早く痛みのない日々がやって来ますように。


2008年05月05日

たんでぃがーたんでぃー

20080504.jpg連休前半に、宮古島へ行ってきました。
山がないので川がなく、赤土の流失や生活排水が流れ込むことの少ない宮古の海は、透明度が抜群に高いと聞いてはいたものの...その美しさは例えようのないほど!
太陽に照らされた海は、水深によって鮮やかなブルーからグリーンへとグラデーションになり、一番浅い場所はついに透明となって、海上の船はまるで宙に浮いているかのように見えます。
東洋一美しいといわれる前浜ビーチ(写真)は、波打ち際まで魚が泳ぎ、これが自然のものとはにわかに信じ難いほどの風景でした。


自然を満喫となると、肝心なのはお天気です。
あいにく、私が到着した日の午後はバケツの水をひっくり返したような大雨が降っていて、空港からホテルまでレンタカーで通った道がどこなのかよく判らない程でした。
このままずっと雨だったらどうしよう...と心配したのもつかの間、翌日の予報は雨だったのに、翌朝カーテンを明けると、空はケロッと晴れているではありませんか(笑)。
良くも悪くも島の天気は大変変わりやすく、本当に天気予報はぜんぜん当たらないのです。
宮古は梅雨でも1日中雨ということはないそうで、地元の方は自分で空を見て、風を読んで判断しているようです。
私が滞在中に、後から到着した宿泊客とエレベーターなどで一緒になると、彼らは決まって
 「予報では雨だって言うてたけど、ぜんぜん晴れとるやんけ?」
 「晴れるって言ってたのに、降ってるねぇ...」
などと、実際の天気とのギャップに目を白黒させていました。


東京のように予報はほぼ当たり、1日中ほとんど天気が変わらないような地域から来ると、その時々に一喜一憂してしまうのですが、そんなことではいけないのですね。
結局、今回のお天気は2勝2敗...といったところ。
全部が快晴ではなかったのですが、全部晴れだったら遊び過ぎて体力が持たなかったであろうとも思うので、ちょうど良かったでしょう(苦笑)。
曇りでも雨でも海は綺麗ですが、キラキラ度はやっぱり違うので、快晴が理想ですけどね。
「地元でずっと海の仕事をしていても、やっぱり晴れるとテンション上がりますよ!」
と、シュノーケルのガイドさんも言っていました。

海の綺麗な宮古には、たくさんのダイビングとシュノーケルのスポットがあります。
私はシュノーケルが大好きなので、今回は新城(あらぐすく)と八重干瀬(やびじ)へ行ってきました。
新城では、カラフルな小魚から体長30センチはあろう大物までが悠々と泳ぐ海で、様々な珊瑚やシャコ貝などを観てきました。
八重干瀬では、珊瑚にもたれて休んでいた海亀にも会うことができました。
そして海の中の素晴らしさはもちろんのこと、何よりもすごいのは、海の表面の色がこの世のものとは思えないような色...深い所は濃い青、底が珊瑚の所はエメラルドグリーン、浅くて底が岩盤になっている所は宝石のペリドット(蛍光緑)色をしていることです。
そういう場所が南北約10キロ、東西約6.5キロに渡って広がって点在していて、その中をボートで移動しながら、幾つかのポイントで海に入ります。
海って、こんなに色々な色をしてるんだ... ちょっと怖いくらいの自然の姿でした。


しかし、5月の海は、まだ寒かった!
真冬でもダイバーは潜りますし、普通の人は平気みたいですが、私は他の人よりも体が冷えるのが早いので、ちょっと厳しかったです。
いつもガイドさん曰く「脂肪が少なそうだからね〜」だそうですが、私のような人は、船が沈没したらまっ先に死ぬタイプですね(苦笑)。
だいたい50分くらい泳いでいると、ウェットスーツを着ていても体が芯から冷えてしまって、手の指先が痺れて、そのうち感覚がなくなり、それを越すと体がガタガタ震えてきます。
シュノーケルは、1本約60分程度が目安になっているようですが、あともう1歩の10分に、どうしてもついて行けないのです。
よって、いつも少し先に上がったり、3本入る所を2本にしたり...と、寂しい思いをするのでありました。
でも、それでも海に入りたい!
そこで私が立てた計画は...

  ◎行く時期を、もっと水温の高い7月〜にする。
   →気温が高ければ、海から上がった後に体が温まり、回復できるので。
  ◎温かいお茶の入ったマイ魔法瓶を持参する。
   →自販機やホテルでも温かい飲料は売っていないし、
    ボートにはたいてい、冷たい飲み物しかないのです。
  ◎体が芯から冷えないうちに、次に備えて早めに上がる。
   →単純に、1回の入海時間を短くすれば、本数入れますよね。
    欲張らずに30〜40分で上がれば、体温の回復が早いはずです。

次回はこれらを実行してみよう!と意気込んでいます。
船酔いはしない体質がせめてもの救いですが、自分の体力の乏しさを痛感するのでありました。
水中でも貼れるカイロとか、あったらいいのにな〜!!

それにしても、自然の中へ行くと、日頃使っていない五感が刺激されるのを実感します。
  今朝の風は東から吹いているから天気は回復する... 
  もうすぐあの雲が来るからかなり雨が降る...
そんなことを考えて暮らすことなんて皆無だということの方が、本当はおかしいのかもしれない。
たった数日居るだけでも、海と風と光を頼りに、何かを掴もうと本能は動くのですよ。
島の人がのんびりしているのは、数時間先の天気のように、どうなるかわからないようなことに振り回されていたって仕方がないという、日々日常からの為せる業なのかもしれません。
  良い事も、悪い事も、ずっとは続かない。
  いつも時間は動いていて、大切なのは今。
なんだか禅の教えみたいですが、そんなことに気付かせてもらったような気がします。

タイトルの「たんでぃがーたんでぃー」は、宮古の方言で「ありがとう」の意味です。
覚えられそうで覚えられない方言が、たくさんありました。
島らっきょう、もずく、海ぶどう、アーサ、アロエ、紅いも... 美味しい食材もめいっぱい満喫。
日の出と共に起き、海の色で深さを計り、潮の匂いを感じて、1日に数時間泳ぎ、満点の星空を仰いで眠る...
いつも、のんびりしようと思って海へ行くのに、気が付くとめいっぱい動き廻ってしまう貧乏性の私ですが、それもまた島のパワーですね。
さて、今週からまた頑張るぞ〜