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体の使い方

20080507.jpg今までのブログ記事の中で一番反響の大きかったのは、2006年7月に掲載した「左手生活」です。
これは、私が石灰沈着性手首関節炎になった時のことを書いた話なのですが、かれこれもうすぐ2年にもなるのに、今も月に数回は「この病院を教えて」というメッセージをいただきます。
あまりに多いので、すべてUPはせずに直接お返事していましたが、今月を機にお返事するのを止めることにしました。


なぜって、意地悪じゃありませんよ(笑)。
すでにブログを書いた当時からかなりの年月が経っていて、私はそれきり、もう通院していませんし、この病院が今も適切な治療を行っているのかもわかりませんし、私の主治医だった医師が今も診察しているのかもわかりません。
未確認な情報を無責任に提供するのは、どうかな...というのと、もう1つの大きな理由は、
「病院を教えることが、根本的な解決にはならない」と思ったからです。


石灰沈着性の関節炎は、手首や肩などの関節付近によく起こる、反復性の高い症状です。
「これといった原因はなく、体質による」と言われます。
でも私は、今はもう完全に症状が出なくなりました。
それは「体質が変わった」から?? 
いえいえ、そうではありません。
「体の使い方を変えた」からです。

当時の私には、病院へ行くほどではないものも含めた体の痛みが、手首以外にもいくつか起った事がありました。
それは、もうさほど重要視しなくなっていたり、あきらめていたり、そんなもんだと思っていたり、良い時と良くない時があったり...
でも、やっぱり痛くない方が良いに決まっています。
だから何とかしたくて、色々と勉強し、情報を探しまくったのです。


そして辿り着いたのが「ボディ・マッピング」でした。
これは、人間の体の構造を正しく学び、構造に反した使い方をやめて、機能的に体を使えるようにするという画期的な内容でした。
そして文献を読むほどに、この考え方は、武術(柔道、剣道、合気道、馬術など)やリハビリ等の場で使われている考え方とまったく同じであることがわかりました。
武術は、ひとたび間違えると怪我をしますよね。
リハビリは、故障からの復帰... 体の機能を取り戻したり、それ以上痛めないようにするためのものです。
普段の生活では、武術や怪我などの極端な体の状態になるようなことはしませんが、実はそういう普通の人ほど、間違った体の使い方をしている可能性が高いのです。
その小さな積み重ねが、実は怖いのですよ。
実際に症状に出た時は、かなり慢性化しているので、本人もつらいし、治りにくいのです。


例えば、これは私がギターの生徒さんによくする話ですが、
手(指も含む)は、親指ではなく小指が主導で動くようになっています。
   は?? 
と思われる方も多いでしょうけど、まぁ、簡単なことなので聞いてくださいね。
何か物を手全体で握る時、親指&人差し指側から指を握っていくのと、小指側から握っていくのでは、手の使い方は明らかに違います。
ゴルフのグリップは、小指側から握って...と言いますよね。
テニスのグリップもそうですね。
親指&人差し指側から握って行くと、手首も腕もよく動かず、スポーツでは怪我をします。
ギターでは怪我まではいきませんけど、ひどくなれば腱鞘炎になりますし、何よりも上達しません。
このように、「どうやって体は動くようにできているのか?」ということを理論的に学ぶのが「ボディ・マッピング」なのです。


そして、手だけ学んでも、意味はありません。
体全体の総合作用を理解する必要があります。
ちょっと解剖学みたいな感じなのですが、決して難しくはないんですよ。
本を読んで、「そもそも私は、体の使い方が間違っていたんだ...!」と気が付いた私は、
生活の全てにおいて自分の体の使い方を改めることにしました。
体は本当に奇跡の如くによく出来ていて、それを理解・実践するのはとても楽しく、
日々の生活上での自分の行動を注意深く観察して、研究して、直して、そして気がつくと...
手首の痛みも、他の症状もまったく起らなくなりました。
(思い起こせば、この関節炎のきっかけはペンの持ち方の悪さだったようで、今も私は文字を書く時には特に注意しています。不思議とギターを弾くのには影響はなかったのですが、悪化すれば弾けなくなっていたかも...!)


よって、私の関節炎が治ったのは、病院のおかげではありません。
こんなことを書くと医師に申し訳ないようですが(苦笑)、結局、関節炎を治すのは自分なのです。
(自分のせいじゃない関節の病気もありますので、その線引きは必ず医師に判断してもらってください)
もちろん、急性の痛みを取り除き、注意を促してくれた医師にはとても感謝しています。
でも、その後をどうするか...繰り返すのか、完治させるのかは、自分次第なのです。

いくら注射や薬で症状が楽になっても、それは単に薬の力の一時的な現象です。
関節炎が起こるような体の使い方を続けていたら、薬剤が切れれば、また同じ様に同じ場所に炎症が起こります。
それから、よく言われる「無理をしたから痛くなった」「頑張りすぎて痛めた」は、大きな間違いです。
もともと、体は使い過ぎても壊れないように、痛まないようにできているのだそうですよ。
普通の人では想像もつかないようなトレーニングを重ねるプロのアスリートや、難しい業を極める職人さんたちは、無理をしていないのでしょうか? なるべく体を動かさないように休み休み生活しているのでしょうか? 
...そんなことありませんよね。
ちょっと使いすぎて痛くなってしまうようだったら、あなたは一生、自分の動作に制限を設けて生きていかなくてはなりません。そんなの、イヤですよね。
しばらく休めば当然、その時は良くなりますが、間違った動きを始めれば、元の木阿弥です。
だから、「体を痛めないように体を動かす」ことが大切なのです。


ということで、急性期のひどい症状は、注射や薬で抑えた方が後の治りは早いので有効ではありますが、
根本的な原因が改善されない限りは、完治はあり得ません。
どんなに良い医者に診てもらっても、どんなに良い薬があっても、残念ながら解決はしないのです。
いくら頑張って海を綺麗にしようと浜辺のゴミを拾っても、川の上流でゴミや汚水の不法投棄が慢性的に続いていたら、どんなに掃除をしても無駄なのと同じです。


これといった原因の見つからない関節炎でお悩みの方は、ぜひ自分の体の使い方を根本から見直してみてください。
あなたがツライのは、そこ1カ所だけではありませんよね?
他にも、痛みがあったり、不快な場所があるはずです。
みんな原因は同じかもしれませんよ。


今まで何十年としてきた事を変えるのは、とても根気のいることですが、それで炎症の苦しみから解放されるんですから、決してそれは苦しいことではないですよ。
もう遅い、なんてこともありません。いつからでも始められます。
「ボディ・マッピング」は、「アレキサンダー・テクニーク」とセットになって論じられるもので、関連書籍はたくさん出ていますので、探してみてください。
これに限らず、武術など体全体を使う術を習っても良いでしょうし、体の構造を熟知しているスポーツインストラクターに相談するのも有効でしょう。
悩める皆さんに、1日も早く痛みのない日々がやって来ますように。


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コメント

石灰沈着性関節炎のことを調べていて⇒akikoさんのブログにたどり着きました。
 初めまして。
私は産後に、右手首にこの症状がきました。
病院の先生に聞いてもどうしてこうなったのか分からないし、
あまり大した病気ではないのでしょうけど
それにしても激痛で大変でした。
 でも、それからというもの足の指や手の指に、
同じような症状が出ます。。。
体質が原因って言われても・・何か方法はあるはずでしょう、と思っていた
矢先に「ボディ・マッピング」のことを知ることができて
ヨカッタです☆★♪ 私も、勉強してみます! 
ありがとうございました!

>Kannaさん
お役に立てたようでよかったです。
最初はピンと来なかったり、効果が実感できるまで時間はかかるかもしれませんが、根気よく自分を観察して、見直してみてください。
そして、どうぞお大事に。

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