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CARNAVAL 2003(1-1)

リオのカーニバルへの出場は、一生のうち一度は体験してみたいものの1つだった。
テレビで観るだけでもあの迫力なのだから、自分の足であの会場を歩けたら...!
ろくに踊れもしないくせに「サンバ出場は私の夢の1つなんだ」とあちこちに触れ回っていたら、
チャンスはひょっこりやって来た。
友人の旦那さんが某サンバ・チームのバテリア隊(パーカッション隊)に所属していた関係で、
そのチームに参加させてもらうチャンスに恵まれたのだ。

カーニバルは、毎年陰暦に基づいて決められた4日間に行われる行事で、
エスコーラ・ヂ・サンバと呼ばれる数々のチームがそれぞれにテーマを決めてパレードをする。
皆さんも、テレビのインターナショナルニュースや、浅草のサンバ・カーニバルなど、
ちょっとはご覧になったことがあるのでは?

メディアではセクシーな格好の女性ばかりがクローズアップされているので、
そういう人々の集団が踊り狂っているだけのように思われががちだが、決してそんなことはない。
実はもっともっと深いものなのだ。

カーニバルの衣装は、ファンタジアと呼ばれる。
前述通りほとんど裸同然のようなものから、こんなもの着て踊れるの?というような
着ぐるみのような衣装まで、様々なデザインがある。

しかし、練習にも参加せずに、当日ぶっつけ本番でも出られる人のAla(列)は限られていて、
私が出場させてもらったチームではそのファンタジアは3種類あった。
その中から私たちは、白が基調でフリルやゴールド使いがとてもかわいい、
もちろん露出のぜんぜん激しくない”皇室(宮廷)貴婦人”という名前の衣装を選んだのだった。

さて、当日のチーム自体の集合時間は夜11時。
ところが、ここはブラジル、時間通りにみんなが集まる訳がない。
それを考慮し、プラス1時間して12 時に行けばいいやということで、
まずは友人の家に9時ごろ集合した。

だいぶ早いが、それには2つ訳があった。
まず、1つ目は衣装直しが必要なこと。
衣装には一応、S, M, Lのサイズがあるのだが、同じSでも多少バラつきがあるので、
各自、自分に合わせてそれを直することが必要となる。

衣装はみんな、ファヴェーラ(スラム街)のおばちゃんたちがひとつひとつ手作りしている。
案の定、これも完成が遅れて遅れて、出演当日の午前中にやっと受取ることができた。
だからなのか、遠目にはよく出来てはいるものの、私たちのはものすごく急いで作ったらしく、
よく見るとまだマチ針が刺さってたり、スカートのレースにアリが歩いてたりという状態。
しかも小物であるクツやカサは、私が友人宅へ到着した時にはまだ出来上がっておらず、
結局、すべての衣装セットが揃ったのは当日の夜11時だった。

デザイン画では素敵だった”宮廷婦人”も、いざみんなで着てみたら、大屋政子風...
今いくよくるよ風とも言えようか。こりゃすごい。

これだけゴテゴテしていても、ファンタジアはとても軽くできているので、
はたから見るほどは苦しくはないのだが、問題は気候。
夏だから一揃い着ると、とにかく暑い!!帽子なんて被るとクラクラしそうだった。
これでMAX踊るというのは日頃のトレーニングが必要そうである。
でも、いまさら遅い。私たちは気合いでなんとか乗り切るしかないのだ。

そして早め集合の訳の2つ目は、写真撮影大会をやりたかったこと。
リオは治安が悪いので、いくらカーニバルと言えども、
そうそうカメラをブラブラさせて町なかを歩けない。
出場するとなったら、どこで落とすかもわからないし、落ち着いて写真なんか撮っている暇も
ないかもしれないので、まずはゆっくり安全な家の中でお互いに写真を心ゆくまで撮ろう!
ということなのだ。

ひとしきり写真を撮って満足した私たちは、その格好のまま5人でタクシー2台に分乗し、会場まで。
途中、同じ様な団体に合って、手を振りあったり、真夜中なのに、街はまるで夜の8時ごろ?と
見紛うばかり。なんだかワクワクしてきた!

会場のすぐそばまではタクシーも入れないため、ちょっと前で降りて、そこから待ち合わせ場所へ。
会場の外側が各チームの集合場所になっていて、辺りはきらびらやかな衣装を身にまとった人々で
ごった返していた。目印の郵便局を目指していざ到着したが... 
やっぱり、同じチームの人々は誰もいなかった。

どうも、12時でも早すぎたようである。
よく笑い話で、時間を守るのは日本人とドイツ人だけというけれど、本当にその通りなのだ。
ラテン系にとって、時間はあってないようなもの。私のようなリオ在住の日本人は、
それをブラジル時間と言っていた。
例えば、よく待ち合わせに遅れて来る人のことを「○○さんは、ブラジル時間だよ」という風に。

とりあえず、チームのアレゴリア(山車)を探して進んでみたら、だいぶ行ったところにチーム名が
書かれたTシャツを着た人を発見。
しかし、私たちと同じような衣装を着ている人はどこにも誰もいない。
本当に、私たちは出られるの...?? 
一瞬そんな疑問も頭をよぎったが、○○なはずなのに、そうじゃなかった、なんて事は
ブラジルでは当たり前なので、そのうちみんな来るだろうということで、待つことにした。

こんなこともあろうかと、持って行った新聞紙を広げて座っていたものの、
待てどくらせど、まったく状況に変化なし。

実際にディスフィラール(パレードで行進すること)するのはだいたい2時頃になると聞いていたのに、
私たちの前のアレゴリアはまだ飾り付けの真っ最中。
で、今は何時なの?と、思ったけど、誰も時計を持ってない
(腕時計は身につけてると狙われて危険なので、普段はあまり持って歩いていない)。

それで、現在の時間と何時頃出るのかをスタッフに聞きに行ったら、
「今は夜中の1時で、出演は、全部で8チーム出るうちの7番目で、4時頃」
ということがわかった。

あと3時間もここで待つの?? これには、全員でゲンナリ。
友達のうちの2人は、もうさっさとフランクフルトとビールを買ってきて
飲んで食べて、新聞広げて道ばたで寝てしまった(笑)。

私と他の2人は、ちょっとの間は座って話して待ってたけど、さすがにお腹もすいてきたので、
屋台でなんか買ってこようかってことになり、串刺しのシュハスコ(焼き鳥の牛肉版)と
ガラナ(ブラジルでポピュラーなジンジャエールに似た清涼飲料水)を買って
しばしの夜食タイムとすることにした。

小腹が満たされると人間少しは余裕が出るもので、そのあとはゆっくり廻りを観ながら
その雰囲気を楽しんで、出場までの時間を待つことができそうな気がした。

前にはどんどん飾り付けが完成していくアレゴリアがずらっと縦に並び、
そしてそれぞれの衣装を着た人たちがたくさん集まっていて、すごい人いきれだ。

出演者たち用に屋台...ホットドック、フランクフルト、サウガジーニョ(ブラジルの軽食で、
揚げたコロッケみたいなやつなど色々な種類がある)やジュース売りがたくさん店を並べ、
その脇では少人数のサンバ隊が演奏し、そこにまた輪が出来て人が踊り...もう、ごっちゃごちゃ。

さて、食べ終わっても別段することもないので、話したり、他の衣装の人としゃべったりしながら
やっと3時頃(推定)になったら、目の前のアレゴリアが動きだしたので、
それに合わせて私達も移動を始めた。

(つづく)

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