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昔話の記憶

息子が3歳になり、いわゆる”昔話”の絵本を読む機会が増えました。
そこで気がついたのが、誰もが知っているような、とても有名な昔話のストーリーを
意外と「覚えていない」という事実です。


例えばイギリス民話の「3匹のこぶた」。
私の覚えているお話はこうでした↓

  あるところに、ブー、フー、ウーという名前の3匹の兄弟こぶたがいました。
  3匹はそれぞれ家を建てることにしました。
  ブーは藁で、フーは木で、ウーは煉瓦で家を建てました。
  ある日、オオカミがやって来て、ブーの藁の家は吹き飛ばされ、食べられそうになってしまいました。
  ブーは必死にフーの木の家に逃げ込みましたが、オオカミは木の家も吹き飛ばしてしまったので
  2匹はウーの煉瓦の家に逃げ込みました。
  オオカミは煉瓦の家を吹き飛ばすことはできず、退散。
  3匹は煉瓦の家で幸せに暮らしました。おしまい。


ところが、今回あらためて本を読んでみると。。。
だいたいのあらすじは、こんな感じでした↓


  あるところに、3匹のこぶたがいました。
  お母さんぶたは貧乏で、子供たちを育てることができなくなったので、
  3匹をよそへやることにしました。
  最初に出掛けたこぶたは藁で家を建てましたが、オオカミがやって来て藁の家を吹き飛ばし、
  こぶたは食べられてしまいました。
  次のこぶたは木の枝で家を建てましたが、やはりオオカミに家を吹き飛ばされ、
  食べられてしまいました。

  3番目のこぶたは煉瓦の家を建てたので、オオカミは家を吹き飛ばして食べることができず、
  翌日こぶたをカブ畑に誘いました。
  こぶたはオオカミより早い時間に起きてカブを取ると、先に家に帰って難を逃れました。
  腹を立てたオオカミは、今度はこぶたをリンゴ狩りに誘いました。
  こぶたはまたオオカミより早い時間に行ってリンゴを取ると、先に家に帰って難を逃れました。
  
  オオカミは懲りずに、次はこぶたを町のお祭りに誘いました。
  こぶたはオオカミよりもまた先に行って先に帰って難を逃れたので、
  怒ったオオカミは、今度こそこぶたを食べてやろうと煉瓦の家の煙突から家に入りましたが、
  こぶたは大鍋を火にかけて待ち構えていたので、オオカミは鍋に落ち、
  こぶたはオオカミを煮て食べてしまいました。
  それから、こぶたは幸せに暮らしました。




えーっ こんな話だったっけ?!
本をめくりながら、なんだか釈然としない私。。
そもそも、ブー、フー、ウーなんて名前は出てこないし、
家を建てることになったのは、お母さんぶたのネグレクト(育児放棄)だったなんて!
そして、後半のカブやリンゴやお祭りのくだりに関しては、全然知らなかった!
しかも、最後はこぶたがオオカミを食べてしまうなんて!
私の記憶していた「3匹のこぶた」は一体、誰のアレンジだったのでしょう(笑)
あんな簡潔で平和なお話にしてしまうなんて...なかなかの手腕です。




そして他にも、びっくりしたのが「花さか爺さん」。


  むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
  お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。


うんうん、ここまでは記憶と同じです。というか、昔話の典型的な冒頭ですよね。
手が止まったのは、その後です。


 お婆さんが洗濯をしていると、小さな箱が流れてきました。
 拾って開けてみると、中から手にのるほどの小さな子犬が出てきました。
 お婆さんは子犬を連れて帰り、お爺さんと一緒に大切に育てました。


えーっ! 桃太郎?!
”ここ掘れワンワン”のあの犬は、川から流れてきたんですか?!
私はてっきり、犬は最初から、お爺さんとお婆さんと一緒に暮らしていたものと思っていました。
そうか...大事に育てられた犬が恩返しする話なんですね、これ。


もともと昔話や民話というのは作者不詳の古い伝承文化なので
地域によって微妙にストーリーや結末が違ったりするのは不思議じゃないのですが、
記憶違いのショックというのは、なかなか面白い体験でした。


でも子供の頃からの記憶と、本のストーリーが一致していたのも、ちゃんとありましたよ。
「浦島太郎」「桃太郎」「赤ずきん」「7匹の子やぎ」などは、そのまんまでした。
特に「7匹の子やぎ」は、子供の頃に大好きで、絵本を買ってもらって、
毎晩毎晩、母親に読んでもらっていたので、ものすごーくよく覚えています。


そして、昔話や民話には、元々けっこう残酷な部分があるんですよね。
絵本では残酷部分を削って話を変えてしまってあったりして、
なかなかオリジナルに出会えないこともあります。

例えば「カチカチ山」なんて、
タヌキがお婆さんを殺して婆さん汁にしてお婆さんに化け、
それを「タヌキ汁だよ」と言ってお爺さんに飲ませるという...実はすごい話です。
だからこそ、タヌキが後で酷い目に合うのですが、タヌキが受ける復習もかなりハードなものだし。。
確か、私が子供の頃に読んだ「カチカチ山」は、
タヌキがお婆さんに怪我をさせて、
それが元で亡くなってしまった...というような話になっていたように思います。
本当のストーリーを知ったのは、小学校高学年くらいだったかな??


大人になって行くうちに忘れてしまったり、色々な話が混ざり合ってしまったりもするけれど
それでも代々語り継がれて行く昔話って...すごい!
不朽の名作を、あらためて楽しむ今日この頃です。



2015-09-04-1.jpg

●公園には、もうドングリがいっぱい落ちています。
息子と一緒にたくさん拾って、滑り台から転がして遊んだり、
まさにドングリころころ〜して遊んでいます。

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