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ピアノvs ギター

2011-05-09-1.jpg「ピアノとギター、どっちが難しいですか?」
「ギターなら、ピアノより弾けるようになりますよね」
と、よく訊かれます。

でも、
「そうですね〜、○○の方が...」
とは、安易に言えません(^^;

なぜなら、この問いには
「大人になってからピアノを習うのは大変だけど、
 ギターなら、大人になってから始める人も多いから、
 ちょっとやれば弾けるようになるだろう」
という願望が込められている事が多い...からです。

「弾ける」が、どのくらいのレベルを指すかにもよりますが、
例えば「趣味の仲間内で数曲披露できるくらい」としましょう。
やっぱりどちらでも、そこまで行くのに最低数年を必要とするのは、
両方の楽器を習った事のある方なら、充分お判りいただけるかと思います。


ピアノとギターは、「弾き易さ」と「難しさ」の種類が違います。

まず、ピアノの良いところは、とにかく鍵盤を叩けば、とりあえず音が鳴るということです。
ギターは、左手で弦を押さえて、右手で弦を弾かなければ音が鳴りませんから
解放弦以外は、単に音を出すだけで、ピアノの2倍のアクションが必要です。

でも、持ち運びができないピアノに比べて、ギターはどこへでも手軽に持って行けます。
それは同時に、練習し易さにも影響します。
もともと音の大きいピアノは、練習時間や場所を選びますが、
ギターは、ピアノほどは大きな音は出せません。
家の中で弾くのにそれほど特別な環境は必要ありませんので、
練習しやすい=上手くなりやすい と思います。

演奏については、ピアノは両手で1度に最多10音も鳴らすことができるので、
それだけ複雑な演奏が可能です。
でもギター(6弦ギターの場合)は、どんなにがんばっても最多6音。
通常、ボサノバでは4和音か3和音しか和音演奏しないので、さらに減ります。
(これに自分の声(歌)が加わって、5和音、4和音になる訳です)
アレンジ作業の難しさは別として、音が少ない方が、やっぱり演奏は楽です。

でも、2つの楽器の1番の違い...
それは、フォーム「構えと動き」の習得だと私は思います。

ピアノは、弾く時のフォームが非常に自然です。
座って真っ正面の上から鍵盤を見て演奏できて、
習っている時にも、先生の演奏の様子と、自分の演奏の様子が同じ目線で、すぐに見比べられます。

対してギターは、楽器を持って自然に座るということ自体が、まず難しいです。
体がねじれたり曲がってしまうと、長時間弾くのはつらいし、
上手く弾けないので練習時間が短くなるか、
それでも無理して弾いて体を壊すか...いずれにせよ良くない事ばかりです。

また、生徒が自分のフォームと先生のフォームを見比べることが、すぐにはできません。
目線をピアノと同じようにするためには、
先生が生徒の後ろに回り込んで、生徒の構えたギターでやってみせるか、
生徒に先生の後ろから、ギターを弾く様子を見てもらわなければなりません。。

フォームの習得は、スポーツでも何でも同じですが大変重要なので、
判りやすさで言うなら、ピアノの方に軍配を上げたいと思います。

なので、夢を壊すようですが、
「ピアノもギターも、同じくらい難しいです」
と、私はいつも答えています。


どちらが早く弾けるようになるかは、どちらの楽器が好きか?によると思います。

私はピアノも好きだし、子供の頃から13年も習っていたけれど、
今やもう、人前で演奏できるレベルじゃありません。
上手な人を観てると弾きたくなったりはしても、まったく練習しないですからね(笑
自分にとっては「ピアノの方が難しい」と、どこかで思っているかも?
でもこれは、「技術的に難しい」のではなくて、
それ以前に「練習し続ける気力の確保&継続が難しい」という事なんです。
まさに、これが「弾けるか、弾けないか」を決める、真髄なのだと思います。


下手でもやっぱりギターの方が好きで、
同じギターでも、ロックでもフラメンコでもフォークでもクラシックでもショーロでもなくて、
ボサノバ、サンバ、そして、インストじゃなくて、歌と一緒の「弾き語り」が好きなのです。
この「これが好き」という単純な気持ちがあると、ちょっと弾けると嬉しくて、
「あ、できた、できた」なんて喜んで練習しているうちに、
年月なんて、あっという間に過ぎてしまう...ような気がします。


逆に、あまりにも初めからヤル気満々で「こうしたい」「こうなりたい」が強すぎると、
思い通りに弾けない自分とのギャップに耐えかねて、挫折してしまうことが、実は多かったりします。
せっかく頑張ろうと決心したのに、これは大変もったいない話ですよね。

ギターもピアノも、1人でも大勢でも演奏を楽しめる素敵な楽器。
どちらにしようか迷ったら、音色の好きな方、とにかく好きな方!を、おすすめします。

芸事に「これでヨシ」という終わりはないので、
私もこれから一生、 楽しみながら地道に練習して行こう〜と思っています。

[photo data]
Olympus E-410 ZUIKO DIGITAL14-54mm F2.8-3.5
ISO400 F4.5 1/800 +0.7ev 54mm
前回同様、上野動物園での1枚です。
とても良い天気だったので、ペンギンたちも気持ちよさそうでした。

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コメント

若い頃、ギターにさわっていました。たしか「エリーゼのために」と云う曲を最後までは弾けなかったのですが、長女が3、4歳の頃、何故かその曲を弾くと涙を流して聴いてくれたのを想い出します。コードとか本で習い始めましたが、左手のフレットを抑える力が弱く、と云うか技術の問題なのでしょうが、音が割れてしまい不器用なのも相まって、結局途中で挫折しました。ギターは一人で曲の主旋律と伴奏も出来るので、さらに感情も移入できるので、(全ての楽器がそうなのでしょうが....)優れた楽器と思います。特にボサノバの曲は比較的静けさの中にも情熱があふれ、さらに知的な雰囲気も漂い、柳沢さんが、か細い指でキチッと音を出しているのには感心いたします(プロなので当たり前なのでしょうが....)。

お嬢さんが感動して聴いてくださったなんて、何よりも嬉しいことですね!
技術的な上手下手よりも、演奏の本質はそこにあると思います。

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