ベルギー紀行(2)
蒸し暑い日が続きますね。今日、うちは今年初めてクーラーをつけました。
さて、すっかり更新が遅くなってしまいましたが、旅行記・後半編です。
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ブリュッセル滞在3日目に、ブルージュへ日帰り観光に出かけました。
「橋」という意味のあるブルージュは、その名の通り水の都です。
この町を流れる川には50以上の橋がかかり、旧市街は世界遺産にも登録されています。
その昔、13〜14世紀には中世ヨーロッパの商業の要として栄えましたが、15世紀に入ってから水路が沈泥のために閉鎖され、都市としての機能は衰退の一途を辿ることに...
しかし、そのおかげで当時の面影はそのままに、その美しい姿を現在に残すことができたそうです。
ブルージュは、ブリュッセルから電車(IC)で約50分。
ブリュッセル中央駅から、いわば特急電車のようなものに乗れば、簡単に行くことができます。
とはいえ、初めて乗る電車なので、行く時に実は間違えてグリーン車のような指定席車両に乗ってしまったのです。
...私の切符は自由席切符。車掌さんが来たらマズイ。追加料金を払わされるかもしれません。
しかし、行きの電車は観光に向かう外国人でいっぱいで、特に自由席車両は満席+立っている人でかなりの混雑模様です。移動するにも、とてもそこへ紛れこむ余裕はなさそう...
仕方がないので、
「この席の切符の人が来たら、立とう」
と思い、私は空いている座席にちゃっかり座らせてもらうことにしました。
するとそのうち、自由席車両から流れてきた人々が指定席車両にも溢れはじめ...
ざわめきと渾沌の中で列車が発車すると、だんだん
「空いているなら、座っちゃおうか?」
という雰囲気になり、みんな次々と座り始めたのです。こうなれば、しめたもの。
仲間が増えてちょっと安心かも!
結局、私の座っていた指定席には誰も来る予定はなかったようで、そのままブルージュまで座ってしまいました。
途中、ブルージュに着く少し前に車掌さんが来たのですが、あまりの混雑に車両内を通過することができないと思ったのか、私の乗っていた車両前であきらめて引き返して行ったのです。
よって、私の車両の乗客は、ほぼ100%が指定席にタダ乗りしてしまいました(^^;)
実は、このブルージュに向かう電車自体も、切符は窓口で買ったきり、入口の改札もなければ降りる時の改札もなく、まったくノーチェックなのです。極端な話、切符自体を持っていなくてもグリーン車に乗れてしまうようなもの!
ちなみにブリュッセルの地下鉄もバスもかなりアバウトで、一応は乗り場の入口に回数券を通す機械があるのですが、やはり何のチェックもない(時々、有人改札がありますが)ので、やろうと思えば全部タダ乗りできてしまいます。実際、あまり機械に券を通している人を見かけなかったのですが、そんなんで良いのでしょうかね??
しかし、その反面、トイレのチェックはとても厳しく、お金がないと絶対に入れません。
だいたい0.5ユーロ(80円くらい)なので大した金額ではありませんが、カフェでもレストランでも、駅の公衆トイレでも、どこでも必ずおばさんがいて、徴収されます。
あるいはトイレの個室の扉にロッカーのコイン投入口のようなものがついていて、そこにお金を入れなければ扉が開かないというシステムもありました。
どこで厳しくするか?はお国柄なのでしょうかねぇ...
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さて、ブルージュ駅に到着すると、まずはバスで中心部のマルクト広場に向かいます。
同じベルギーでも、ブリュッセルとはかなり街並が違う...
とにかく、可愛い!
三角屋根の独特な建物や、水辺のプチホテルなど、何でもかんでもが、とにかく可愛らしいのです。
あまりにも陳腐な表現で恐縮ですが、「ディズニーシーみたい!」というのが一番わかっていただけるかと思います(TDSは、イタリアがモデルですが)。
建物や街並の美しさはもちろんのこと、川辺の木々も、水面を泳ぐ白鳥も、鴨も、すべてが本物!
街には馬が歩き、塀や家の窓には犬や猫が佇む、まさに”お伽の国”。
しかし、建物には普通に人が住んでいて、(おそらく)観光業が主流なのでしょうけど、普通に生活を送っているなんて...なんとも羨ましい限りです。
毎日どんな物を見て、感じて暮らすかというのは、その人の人生(=人格)に影響を与えるに違いないでしょうから、国民性が違うのも、当たり前ですね。
でも、たとえ一生に一度でも、こういう街が同じ地球上に存在するのだとわかるだけでも、何かが確実に違ってくるのではと思ってしまいました。
さて、ブルージュの観光の目玉は、なんといっても運河めぐりの観光ガイド付きクルーズです。
一度に約30人ほど乗れる小型ボートが3カ所から発着していて(どれも内容は大差ないようです)約30分のツアーを行っています。
昼食を取ると、私も早速ボート乗り場へ。
ボートはたくさんの小さな橋をくぐり抜け、真っ青な空の下に広がるブル−ジュの街をめぐります。顔に当たる風も心地よく、しばし都会の喧噪を忘れ、その風景に見とれるのでした。
川の水は決して綺麗に澄んでいるという訳ではありませんが、変な臭いなどはしませんし、かえって、その深緑の水色や、建物に生えた苔の青さが雰囲気を醸し出していて、良い感じでしたよ。
それと平行して街の中を巡るのが、馬車ツアーです。
走っている馬を間近で見るなんて、リオで行った競馬以来なので、それだけで興奮してしまいます。
事前にガイドブックで見て、馬車ツアーがあるのは知っていたけれど「まぁ乗らなくてもいいか」と思っていた私も、軽快に走る実物を見てコロッと気が変わり、ボートを降りると、今度は馬車乗り場へ向かいました。
しかし、馬車乗り場は、決まっていないのです。
日本から持っていったガイドブックにも、発着場所はメインであるマルクト広場か、曜日によっては、その少し東にあるブルグ広場から、としか記述がなく、どちらの広場にも案内はありません。
よく見ると、時々やって来る馬車が停まる所に長〜い列ができていて、どうもそれが乗り場なようです。
念のため一番前まで行ってみますが... やはり何の表示もありません。
普通、日本だったら「観光馬車乗り場 料金;○○円」みたいな、簡易バス停っぽい表示板が立っているとか、案内の人が居るとか、小屋があるとか... 何かあると思いませんか?
しかし、みんなが待っているのは、ロータリーのほんの一画。
他に待っている人がいなかったら、
「あの人、道がわからなくなって立ちすくじゃってるのかしら?
それとも歩き過ぎて疲れて、とりあえず立ち止まっているのかしら??」
としか思われないような所なのです。
同じ市内でも、ボート乗り場はちゃんと「乗り場」だったし、人もいたし、料金表もあったし、全然違うんだなぁと思いました(笑)。
でも、まぁ他の人も待っていることだし、時々、馬車が来ては、今まで乗っていたお客さんが降りて、待っていたお客さんが乗っていくので、そういうもののようです。
ちなみに料金は、馬車の脇に看板がぶら下がっていて、そこに書いてありました。
馬車を待つこと約1時間(けっこう人気なんですよ)、やっと次の馬車に乗れる!という時に、中学生か高校生くらいの女の子のグループが、1枚の紙を持って私に近付いてきました。
グループの1人の女の子に
「Can you speak English?」
と聞かれ、「少し」と答えると、彼女は
「あなたの国の言葉で、”I love Belgium”と書いて」と言うのです。
差し出された紙には、確かに色々な国の言葉でそれらしき言葉が綴られていましたが、日本語はまだの様子。早速、渡されたボールペンで、
「私はベルギーが大好きです」
と書くと、「私」と書いた時点で、彼女たちが
「おぉ〜っ」とも「うわ〜」とも「きゃ〜」ともつかぬ感嘆の声を上げたので、やっぱり西洋人から見ると、漢字は未知の物なのだなぁと改めて思ってしまいました。
せっかくだから本当はもっと難しい漢字を使ってあげたかったのだけど、内容がシンプルなだけに「愛しています」も大袈裟かと思い、「大好きです」で締めくくると、今度は口々に
「それを読んでください」と。
私が読み上げると、彼女たちは目を白黒させて
「ぜーんぜんわからないわ〜」
というゼスチャーをして、
「ありがとう〜!」
と、元気な笑顔で去って行きました。
たぶん、社会科か何かの授業で来ているのでしょう。
ブリュッセルの町中でも、ここへ向かう電車の中でも、同じような年齢の子たちがグループでメモを取りながら歩いていたり、先生に連れられているのを見たので、ちょうどそういう時期だったのかもしれません。
ブルージュはブリュッセル以上に観光地なので、様々な国の人が居て、こういう課題も授業で行えるのでしょう。そして、若い時から「外国人に英語を使って接する」という体験ができるのだなぁ。。
日本だったら、どこへ行ったら世界各国の外国人がたくさんいるでしょうか??
京都とか、そうなんでしょうか? 六本木はちょっと違うしなぁ(笑)。
やっとのことで乗った馬車は、こちらも思ったほど臭いもなく、
「えっ こんな所を通れるの??」
というようなあちこちの路地を抜け、15分程走った後に、町の南に位置する愛の湖と呼ばれる小さな湖の傍で10分の休憩を取ります。
しかし、この休憩は私たち人間の休憩ではなく、馬のための休憩なのです。
ここに馬の食事場所と水飲み場があり、そこで馬に休憩を取らせて、後半の15分を走らせるというシステムになっているのでした。
愛の湖には、信じられないほどたくさんの白鳥が住んでいます。中には、卵を温めている白鳥もいて、人間を怖がったりもせず、極めて”普通に”そこに白鳥がいる、という感じです。
白鳥を眺めながら馬の休憩を待ち、その後、また馬車に揺られてマルクト広場に帰ります。
この馬車ルートは、ほとんどブルージュ中心部を網羅してしまうので、もうこれだけで充分くらいなのですが、せっかくなら自分の足でも歩いてみたい...
馬車のおかげで立地もだいたいわかったし、同じルートを今度は徒歩でブラブラすることにしました。
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まずは、まだ食べていなかったリエージュ風ワッフルを堪能。焼き立ては格別です。
そして、たくさんの小さなお土産屋さんを散策しながら、先程の愛の湖のちょっと先にあるベギン会修道院を目指します。
この修道院は、今も実際に修道女が暮らしていて、世界遺産にも認定されている歴史ある建物です。
門を入ると、ひっそりとしていて、木漏れ日の中に広い庭が広がり、さすがに心が浄められるようなとても美しい場所でした。
その後、メインのマルクト広場に戻りながらまた街を散策し、ブルグ広場のカフェでお茶をして、夕方18:00くらいの電車に乗ってブリュッセルに戻りました。
他にも、今回は行けませんでしたが、ブルージュにはメムリンクの美術館やグルーニング美術館など、美術館もたくさんあります。
教会も多く、小さな路地裏の1本1本まで、徹底的に”ヨーロッパ”な街でした。
しかし、観光メインなだけに、物価はかなり高め。
レストランの昼食で1人3000円くらいは当たり前、お土産屋も同じ商品が店によって倍くらい値段が違ったりしますので、そういう覚悟は必要かも...
とはいえ、帰国後に「ベルギーへ行った」と言うと
「ブルージュ大好き!」「ブルージュいいよね〜!」
という友人・知人が多かったのも大変頷ける、小さくて可愛らしい街でした。
オススメです。
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翌日は、ベルギーを後にしてパリへ移動です。
パリはまたベルギーとぜんぜん雰囲気が違い、わずか数時間の列車の移動でこんなにも色々な文化に触れられるなんて、やっぱりヨーロッパって良いな〜と思いました。
パリは、10年くらい前に一度来たことがあるので2度目だったのですが、前は海外旅行が初めての母を連れての強行スケジュール団体ヨーロッパツアー。
少ない日程で驚くほど効率良く廻るツアーも価値はありますが、1つ1つを時間をかけて観光するということはできなかったので、今回が初めての旅行のようなものです。
宿はオペラ座から徒歩数分のプチホテルです。
隣はそこそこ美味しいイタリアンレストランで、設備も立地も文句なしでした。
ということで、今回はオペラ座を起点に、セーヌ川クルーズをして、エッフェル塔に昇り、ノートルダム寺院に昇り、サクレ・クール寺院に昇り、残念ながらメーデーに重なってしまい凱旋門だけは昇れませんでしたが、観光名所を思う存分、廻りまくることができました。
特に、初めて行ったモンマルトルのサクレ・クール寺院には、なぜかとても心惹かれました。
映画「アメリ」(私は、帰国後に観ました)の舞台になった地域なので、その映画の所々に出て来る白亜の寺院に、見覚えのある方も多いと思います。
モンマルトルは、パリ中心部からはちょっと遠いため、私もはじめは
「そこまで今回は行かなくてもいいかな」
と思っていたのですが、ノートルダム寺院に昇った時に、遠くにそびえる、まるで魔法の城のようなその姿を観て、また急に気が変わり、翌日にはモンマルトルへ直行したのでした。
「モンマルトルの丘」というだけあって、かなりの急な坂が多いですが、その坂や階段の街並が素敵なのです。
また、サクレ・クール寺院の中の売店で売られていたシルバーのブレスレットが、すごく可愛いんですよ!
あまりに気に入って、2つ購入してしまいました。
これは、図らずも帰国後に色々な人に
「それ、可愛いね〜」「どこで買ったの?」
と言われるので、その度にサクレ・クール寺院を宣伝(?)しています(笑)。
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...と、そんなこんなで最終日は22:00の帰国便ギリギリまでパリを遊び廻り、満足して帰国の途についたのでした。
ヨーロッパはちょっと遠いし、ユーロは高いし、難はありますが、やっぱり良いです。
また次回、行ける日まで頑張ろう〜!!と思えた、リフレッシュの旅でした。
#ちなみに、トップの写真はブルージュで買ったミニチュアの家模型。
本当にこういう家がたくさん並んでいるんですよ。
コメント
こんにちは。(^^♪
今回も楽しく読ませていただきました。
指定席にタダ乗りできてよかったですね(笑)
なんかそういう雰囲気がおおらかでいいですね。
日本じゃ考えられません。
馬車には乗ったことがありません。
15分の走りとと10分の休憩ですか。
なんかのんびりしていていいですね。
馬へ対する愛情も感じられます。(^^♪
いつかヨーロッパに行く機会があったら、
是非ベルギーのブルージュをコースに入れたいと思います。
投稿者: クリントン | 2007年07月02日 18:05
今回は足をのばせませんでしたが、ブルージュはもちろんのこと、
ゲントやアントワープも良い所だそうですよ。
機会がありましたら、ぜひ。
投稿者: 柳沢 | 2007年07月02日 19:21