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やっとDSを入手しました!
とは言っても、頑張ったのは私ではなく、私の両親。
実家の近所の大型スーパーで、不定期に入荷するDSを抽選販売していて、ここ数カ月間、それをずっと狙っていたのです。
この情報は、当日の朝刊に入る、折り込みチラシだけに掲載されます。
どっさり届く厚さ3〜4センチにもなろうかという広告チラシの中からは、そのスーパーのチラシを見つけるだけでも一苦労。
しかも「DSを販売します」の文字は、端の方に小さく書いてあるだけなのです。
その見落としてしまいそうな1行を、9時の開店前に見つけ、整理券をもらうためにスーパー入口に並ばねばなりません。
混乱を避けるため、当選番号は1時間後に売場に掲載。当選者は、当日11時までに購入するという仕組みになっています。
品薄状態が続くだけあって、お店側も苦肉の策です。
実は先週も販売があったのですが、母がチラシに気が付いたのは、既に開店後でした。
わずかな差でタイミングを逸していただけに、後悔しきりです。
前回の販売はちょうど1か月前だったので、今度は来月!と思っていた矢先、まさかの連続販売!
今回、母がその文字に気が付いたのは、8:50でした。
まだ朝の着替え途中だった父を急かし、スーパーに急行してもらうと、なんと今回は入荷個数がいつもの倍と多かったので、抽選ではなく、先着販売とのこと。
急いで帰宅した父の
「まだあるぞ!」
の言葉に、今度は母が自転車でお店に急行。めでたく2台入手となったのです。
2台?? そうです。1台ではないのです。
実は、DSが欲しいのは、私だけではなく、母もなんです。
うちの母、何よりテレビゲームが大好きで、もしかしたら、私より欲しがっていたかもしれません。
アクションゲームは苦手なので、もっぱらRPG専門ですが、わからないことがあると妹の友人にメールで聞いたり、ゲームのコミュニティで情報を得たりして、虎の巻なしで攻略します。
ドラクエ、FFはもちろん全制覇。
DSも、次作ドラクエがDSで発売されると知ってから、本気になりました。
別に特にメカ好きということはないのですが、携帯メールも写メール(愛犬の写メールは母が誰より上手い)も、大型液晶テレビも、ノートパソコンも、カーナビ操作も...
あの年代の人には珍しく、とにかく機械ものをひとりで操って楽しんでしまう人なのです。
先日実家に行ったら、大型液晶テレビで持ち株のレートチェックまでしていて、びっくりしました。。
ちなみに、父は携帯電話も運転免許も持っていないし、電球1つ交換できないほどの機械オンチ。
だからこそ、母が得意になったという事もありますが(^^;)
その日の午後、私がDSを受取りに行くと...
謎解きミステリー系のソフトに、専用ケース、液晶防護シールまで購入して、母は既にゲームを楽しんでいました。
その後、私も念願の「英語漬け」と、ニンテンドーならやっぱり「スーパーマリオ」でしょ、ということで2本のソフトを購入し、いざ電源をON。
画面も綺麗、音も綺麗、電池ではなく充電で充分動くし、軽いし、本当にびっくりです。
いやいや、これは子供が欲しがる訳です、始めたら止めない訳です。面白いもの〜!!
「英語漬け」は、ディクテーションのトレーニングがメインなんですよ。
毎日やるなら、下手な参考書よりも、けっこう良いかもしれません。
少なくとも、電子辞書についている「テスト機能」よりは使えると思いました。
さて、予約券入手と購入で、わずか数時間内に2回もお店に行った母は、こんな事情を知らないお店の人に
「何度も朝から大変ですねぇ、お孫さんのため...ですか??」
と言われたそうです。
まさか自分と娘のためとは言えず...(苦笑)
〜このエッセイは3部作です〜
「英会話スクールを探せ!)その1」からご覧になると、一層お楽しみいただけます。
◆同時通訳者・翻訳者の養成学校としてスタートしたS校は、「英語を使って仕事をする」を前提とした、かなり本格的なスクールでした。
授業はすべて4〜12人までのグループレッスンで、プライベートやセミプライベート・レッスンはありません。
今まで見て来た英会話スクールとはだいぶ様子が違うようです。これは、まずは同じような学校をリサーチせねば...
すると確かに、似たような体制のスクールが世の中には沢山あるんです!知らなかったなぁ。
でも私は、同時通訳者・翻訳者を目指すなんて恐れ多いことはもちろん考えていません。
あまりにも目的がそこだけに絞られている学校では、また英語がキライになりそうですので、そのような所は外すことにしました。
すると、やはり選考ポイントは、レベルの分け方と講師の質となってきます。
いくら細かくレベル分けされていても、自己申請で入れてしまったり、ある一定期間を受講すれば、そのまま自動的に上がって行くようなところは、クラスのレベルとは名ばかりになってしまいますよね。
自分のレベルが廻りより低くても高くても勉強しずらいことはポルトガル語学習で嫌というほど味わっただけに、グループレッスンならば特に、それだけはどうしても避けたいポイントでした。
この件については、学校に電話して聞けばすぐにわかるので、数校に問い合わせをしてみました。
そして講師の質について;こればっかりは実際に授業を受けてみないことにはわかりません。
ただ、自分の担任になる先生に必ずしも体験レッスンをしてもらえるとは限らず、ある程度は賭けになります。
でも、スクールもそのへんは心得ていて、体験レッスンには評判の良いイチオシ講師を持ってくるものなのです。だから、体験レッスンがイマイチだったら、そこのスクールはやめた方が良いと判断することにしました。
こうして、結局はS校1つに絞ることに。
レベルチェックや体験レッスンは、あらかじめ決まった日程を予約して受けるシステムを取っていたので、今回は先に資料請求をし...さぁ、いざ色々なコースの詳細を検討です。
◆S校のレベルは全部で7つに分かれています。
初級のレベル1、基礎力はOKのレベル2・3、日本で英語を使って仕事ができるレベル4・5、そして上級者の6・7です。ディスカッションばかりやるものや、実践的に英語を使うもの、毎週1冊のペーパーバックを読むもの...様々なコースがあり、翻訳者養成クラスはレベル4から、通訳はレベル7からしか入れないことになっています(試験あり)。
むむむ、この感じから行くと、B校でレベル1だった私なんぞ、レベル1に決まっています...
そこで、レベル1で入れるコースとクラスを探すと...なんとレベル1では、週2回(@2時間×2回/週)のクラス、しかもコースは1つしかないではありませんか! 要するに、選択の余地はないのです。
あらためて他校のサイトを確認すると、どうも通訳者・翻訳者の養成学校としても運営している英語スクールでは、普通の英語クラスでも、初級者はたいてい週2回以上が通常の様子...
週2回レッスンが上達のための最低ラインであるのは、よくわかってます。
ポルトガル語もそうでしたから、よーくわかってます。でも、でも、
今さら、週に2回も通うなんてイヤだー!!
残念ながら、私が行きたい英語実践コースは、レベル3からしか週1回のクラスがありませんでした(週1回クラスは、週2回クラスの授業分を1日でやってしまう内容なので、授業時間も2倍の4時間になります)。
あとは、なんとかレベル2なら、別の○○コースで、週1回(2時間)のクラスがありました。
これに入れるなら、通ってみようかな... もしかしたら、他にもコースがあるかな?という淡い期待を胸に電話をしてみると、電話口の担当者は、
「レベル1には、週1回のクラスはございません。
一応、目安としてはレベル1はTOEICスコア550点、レベル2は600点くらいなんですが、
お客さまのスコアはどのくらいですか?」
と答えます。
私が「TOEICは受けたことがないんで、わからないんです...」と答えると、
「そうですか。。でも、お客さまがレベル2である可能性もございますので、
まずはチェックを受けてみてください」
と、申し訳なさそうに言われてしまいました。
いやいや、TOEICも受けたことがない人が、レベル2の可能性はございませんよ...たぶん。
仕方がないのでレベルチェックと体験レッスンを予約し、電話を切りました。
◆週2回... つらいなぁ。でも、良さそうだったら行てみようかな。
でも、やっぱり気がすすまない。先も長いし、なんとかレベル2になれないだろうか。
今から勉強したら、間に合うんじゃないか? やらないよりは良いよね?!
...こうして迷うこと数日。
そんなある日、グズグズとその話をしていると、親しい友人がポツリと言いました。
「あのさ、ポルトガル語の時は、週2だって週3だって、朝早かろうが夜遅かろうが、
習い事の掛け持ちになろうが、文句ひとつ言わず休まずせっせと通ってたよね。
しかも、何年もそうやってたよね。
やっぱり英語は、ポルトガル語ほどは、ヤル気ないよ。」
....ガーン!!
仰る通りです。。私は、返す言葉もありませんでした。
そうです、認めましょう。
アワよくば、空いている昼間の時間を使って、英語でも勉強しようと思っただけです!
夜遅いのは嫌だとか、曜日が合わないのとか、週2は通えないとか、そんなの全部言い訳なんです。要するに、ヤル気なかったんです...
友人は、続けました。
「いいじゃん、レベル1でも半年我慢すればいいんでしょ。
半年頑張れば、2に上がれるよ。そしたら週1にすればいいじゃない」
そして、私は心を決めました。
体験レッスンを受けてみて、このスクールが良さそうだったら、レベル1のコースに潔く通おう!
もう、一夜漬けの勉強なんか、やめた!やめた!
チェックは明後日。このまま行って、ありのままのレベルを受け入れよう!...と。
そして、本当に何もせずに、レベルチェックの日を迎えたのです。
◆S校は、都心の高層ビルの1フロアにありました。
受付カウンター前のちょっとしたラウンジの壁には、英字新聞の切り抜きや様々なお知らせ事項が英語でズラーッ!
うーん、雰囲気は、さながら海外の小スクールという感じです。
レベルチェックのテスト内容は、ディクテーションと呼ばれる、聞いた英語をそのまま書き取るテストが15分、英語によるインタビューが15分。そしてレベル判定後、日本人カウンセラーによるコースの説明があります。
インタビューでは、fluency(流暢さ)、 accuracy(正確さ)、general comprehension(理解力)、communicative interaction(コミュニケーション能力)の4項目について7段階で評価し、各生徒の英語力を正確に把握した上で、力を引き出すのに最適なクラスを提案します...と、学校は謳っています。
さて、受付に予約の旨を申し出ると、申込み用紙を渡されました。
まずはそれに、必要事項を記入していきます。
最終学歴や卒業学科、留学経験を問うもの、TOEICスコア・英検の欄もあり、最初から少々ビビリ気味です。
私の卒業学科は国文科、英語圏留学経験ナシ(ニュージーランドのホームステイ1カ月のような、なんちゃって留学なんかとても書けません)、TOEIC受験経験ナシ。英検は3級しかもっていないので、これも書けません。トホホ...
そして、インタビューテストにおいての注意事項用紙にも、その時に目を通します。
今までと同じように、
「インタビューではとにかく長く、できる限りたくさん話してください。
レベルに合ったインタビューですので、リラックスして臨んで下さい」とあります。
でも、ここでは”間違いは減点の対象になる”とは、書いてありませんでした。
記入が終わって、用紙を提出すると、担当者に連れられてLL教室へ。
そういえば、中学校の時にありました、LL教室。ただテープを繰り返し聞かされて、繰り返し言わされるだけで、本当につまらなかった。英語には良い思い出がありません、私。
そこではすでに5〜6人の人々がヘッドホンをして、熱心にテストを受けていました。
ディクテーションは、私、今まで一度もやったことがありません。
担当者にカセットテープを渡され、A4の用紙2枚も受取ります。1枚はメモ用です。
テープに入ってる7センテンスを聴き取って、書き取るようです。
まず、全部が読まれます。その後、それぞれ10秒のポーズを入れて、2回ずつ1センテンスが読まれます。最後に全部がもう一度読まれて、おしまいです。
その後の7分で、清書用の用紙に記入し、テストが終了します。
テープはスタートすると、止めることも戻すこともできないようになっています。
テスト方式を理解したところで、さぁ、いざスタート。
内容は、短いニュースの1つでした。
早さはもちろん、ネイティブスピード。わずか7センテンスとはいえ、長いフレーズは長い!
1つの単語のスペルを書いている間に、あっと言う間に流れてしまいます。
どうも、日本政府がホームレス対策を行っているが、それがうまくいっていない...ような内容のようでしたが、見事に飛び飛びでしか聞き取れず、文章になったのは、最初の挨拶くらいでした。
でも、こんなのテープが終わってしまったら、いくら考えてもわかるはずがありません。
私は早々に清書を終えると、それを受付に提出し、今度は待合用の部屋に通されました。
◆そこでは、やはり、すでに数人の人が待っていました。
すると.... ん??
なんと皆さん、テーブルの上に置いてある閲覧用の英字新聞や「TIME」を、ごくごく普通に読んでいるではありませんか!
しかも、インタビューの外国人担当者(講師)がそこへ
「Tomoko〜?」「Hiroshi〜?」などと、呼びに来るのですが、
それに当たり前のように、
「Sure,」「Yes,」
など、素晴らしい発音で返事をし、その担当者と英語で世間話をしながら、消えて行くではありませんか〜!!
こ、これは、エラく場違いな所へ来てしまたようです...(汗)
初心者なんて、ここには来ないのでは〜??
しかし、今さら帰る訳にもいかないし、できないから習いに来るんだもん!
開き直った私は、どうせわからない英字新聞や「TIME」には目もくれず、ゴールデンウィークに行こうと計画中の旅行ガイドブック(もちろん日本語)なんぞを堂々と出して読んでいました。
しばらくして、
「Akiko〜?」
おぉ、私の番です。ガイドブックをカバンに入れて立ち上がり、講師の後に続きます。
講師は若い男性で、ネイティブスピードながら、
「今からインタビューを始めますが、リラックスして答えてくださいね」
と、とても聴き取り易い英語を話します。
彼は私の書類(さっきのディクテーションの紙も!)に目を通しながら、ちょっとした雑談をした後に、
「さて。では、まずAkikoから話してもらおうか。」
と、いきなりふって来たのです。
ええっ 何も質問してくれないんですか??
思わぬ展開にひるむも、話すしかありません。
「えー 私はミュージシャンで...」と自己紹介を始めました。
英語をなぜ勉強したいと思ったか(これを書くと3話で完結しなくなるので、割愛します)、
ブラジルの大学のポルトガル語講座に通っていた時、他の国の学生がみんな普段は英語で話すので、それに馴染めなくて大変だったこと、ずっとポルトガル語の勉強をしていて英語を後回しにしていたこと...
どうせレベル1なんだし、間違っててもどうでもいいやと思い、B校・C校に続き英語面接も3回目ということもあって、リラックスどころかけっこう楽しくなった私は、言いたいことをベラベラと思いつく限り話しました。そして、
「英語を避けていたけど、春から勉強しようと決めたので、ここに来ました」
と結ぶと、講師は笑顔で「そうか、そうか」とうなずき、
「ブラジルの良い所と悪い所はどこだと思いますか?」
と聞いてきたのです。
またも思わぬ展開! 良い所と悪い所??
「うーんと、ブラジルには綺麗な海があって、音楽があって、人はフレンドリー」
そこまではなんとか。でも、悪い所って、難しいんです。
まずは「安全じゃない。危険」それと、人がいい加減... あれ、いい加減って、英語でなんて言うの??
「Brazilian people are my pace」
と言ってみるも、講師はうーん、という顔。やっぱり違うよねぇ...
「My pace is Japanese English?」と聞くと、返事は「Yes」。
単語がわからないので、説明するしかありません。そこで、
「たとえば、ブラジル人の友達とコンサートに行くと約束をします。
でも、彼女は急に来ない。そして謝らない」
と言うと、講師は「あぁ〜」という顔をして、
「たぶん、それは own pace だなぁ」
と教えてくれました。
それを使って言い直しをすると、またすぐに次の質問です。
「東京とブラジルの、どちらが好きですか?」
うーん、そう来るか。本当はどっちも一長一短だから、どちら!という訳でもないけど、それでは話がややこしくなります。
ここは嘘でもいからハッキリさせておいた方が、英語にするのが楽ですので、
「東京です」
とキッパリ答えると、案の定「Why?」
「東京は安全だし、道が綺麗だし、すべてが時間通りだから」
と言うものの、ブラジルではマンホールの蓋がちゃんと閉まってなくてもそのままで、そこに片足落ちて怪我をして、町の人に助けてもらったことがあるとか、もともとバスにも電車にも時刻表がないとか、思い返してみればたくさん言いたいことがあったのですが、その時には頭が廻らず...
「なるほど」と講師は、さらに次の質問へ。
「ブラジル以外に行ったことがある国はありますか?」
うーん、また話の裾が広がりそうな質問を...よく思いつきますね。
実はコレ、たくさんあるのですが、この場で全部言ったら何を質問されるか、わかったものじゃありません。
英語が好きではないので、英語圏の国に行ったことは数回しかないのです。アメリカなんて、トランジットでしか降りたことがないし...とか、言えればよかったのですが、ここまで、前述とは別の質問も含め15分以上は経っていたでしょうか。予期せぬ質問責めで、さすがに私もちょっと疲れも出て、
「旅行が好きなので、たくさんの国に行ったことがあります」
とシンプルに答えると、
「オーケー。では、今日はこれで終わります。
ぜひS校に来て、また僕にブラジルの話を色々聞かせてくださいね。
それでは、さっきの待合室で待っていてください。」
と、やっと開放されました。。ふーっ
◆あとは、判定を待つのみです。
先程の待合室に座っていると、6〜7分ほどして日本人のカウンセラーが私を呼びに来ました。
案内された席に着くと、彼女は
「えーと、まずは、講師からのコメントですが、
コミュニケーション能力が非常に高いとの評価が上がってきています。
話そうとする意欲が大変感じられますし、よく知っている内容の会話なら問題ないとの事です。
後は、もっと自信を持ってドンドン話して行けるように、その訓練を積むのが良いでしょう、
と言う事で、お客さまのレベルは3と判定されました。」
こう言うと、私の前に「レベル3」と書かれた判定用紙をサッと差し出しました。
「ええーっ!!」
予期せぬ事態に、私は思わず仰天の一声です。「本当ですか?!」の言葉を飲み込み、
「そ、そうですか...」と続け、しばし放心状態に。
誰か別のアキコさんと間違ってませんか? アキコなんてたくさん居ますから...
狐につままれたような気分でいると、カウンセラーは
「お客さまは、どちらのコースをご検討されていますか?」
と聞いてきます。
「そうですねぇ... あの、てっきりレベル1だと思っていたので(←正直さが思わずポロリ)
コースが選べるなんて思わなかったものですから...」
と言いながら、あらためてパンフを見ます。レベル3なら、グンと選択肢が広がるのです。
そうだ、レベル3なら、行きたかったコースに、週1回のクラスがあったんだ!
あまり疑ってかかって「ご不安でしたら、ひとつ下のクラスになさいますか?」と言われても困るので、
「これ、これを検討したいと思います。」と、早々に意志を伝えました。
どうも、捨て身のお喋りが、吉と出たようです。
◆その後、1時間ほどして、体験レッスンに参加しました。
体験レッスンは初級(1〜3)、中級(4・5)、上級(6・7)、通訳、翻訳でそれぞれ分かれています。
プログラムをもらうと、レッスンの前に各コースの説明や、S校の特色を紹介したビデオ、入校までの流れなども入っていて... あれ、模擬レッスンはなんと80分!
80分もあるなんて、ずいぶん太っ腹というか、本格的というか...いったい何をやるんだろう?
でも、初級コースだから、そんなに大したことはやらないだろうと思っていたら...
初級体験レッスンの参加者は、全部で12名でした。
30〜40代とおぼしき男性が2人、60代くらいのおばさまが1人に、あとはすべて20〜30代の女性です。
テーブルには4人ずつ座れるようになっていて(グループでロールプレイをするためでしょう)、前にはホワイトボードと、大きなテレビが置いてありました。
開始時間になり、現れたのはハワイ出身だという元気で明るい中堅女性講師でした。
(通常の授業では、ネイティブ講師が2人付くそうです)
レッスンに使う何枚かのプリントを配りながら、彼女はやはり普通のスピードで容赦なく話します。あのー、ここ初心者クラスなんですけど...
「さぁ、では授業を始めます。まず、日本にはどんな野生動物がいますか?」
の質問に早速、教室は
シーン...
「何でもいいのよ、日本にいる動物を上げてみて?」
シーン...
「例えば、日光にはサルがいるわよね?
そういうのを、グループのみんなで話し合ってみてください。
後で発表してもらいます。さぁ、どうぞ!」
シーン...
再三に渡り先生にせかされて、みんなようやく自分のテーブルの人たちと目を合わせ、ボソボソと話し始めます。私も、前に座っている女性に、プリントに書いてある質問;
「Are there any wild animals in Japan?」
を投げかけてみますが、彼女はプリントを見つめたまま、固まっています。
しょうがないので、
「For example, bear lives in Hokkaido(例えば、北海道にクマがいますよね)」
と言うと、彼女は突然
「FOX!」
と思い付いたようにつぶやきました。そこで私は「沖縄に蛇もいますね」と続けると、またプリントを見つめたまま、動かなくなってしまいました。
しばらく、それぞれのグループが控えめなディスカッションをした後に、先生が
「では皆さん、どんな動物が挙がりましたか?
そして、その動物たちはどんな問題を引き起こしていますか?」
と聞きますが、また
シーン...
しょうがないので何か言おうかなぁと思っていると、後ろから男性が
「Deer(鹿)」と答えました。先生は、
「鹿は日本のどこにいますか? 他にはどんな動物がいるかしら?」
と、矢継ぎ早に質問を続けます。
どうも、こういった質問のすべてに生徒は逐一即座に発言し(本来なら双方向のディスカッションとして)授業が進められていくようです。
そして、気が付けば結局、答えるのはいつも同じ人... 男性2人と、おばさまと、私の隣の女性と、私の5人だけという状態になりました。
残りの7人はほとんど手元のプリントに目を落としたまま、先生と目も合せようとしません。
私の言っていることなんて「鹿は奈良にもいます」「野生の鹿は、農作物を食べて畑に被害を与えています」「沖縄に毒蛇と海亀」等、「私だって、それなら言える」と誰もが思うような簡単な事なので、ぜんぜん威張れたものではないのですけど...
何も発言しないよりはマシかなと思って、理解できることは、なるべく発言するようにしました。
そうこうしているうちに、今度はプリントの次の項目へ。今度は、ボキャブラリーです。
左側に書いてあるの単語の意味を、右側の文章から選ぶ(もちろん、すべて英語)というもので、またしても先生は
「グループで相談しながらやってください、どうぞ!」
と言いますが、相談だって英語でしなければならないのですから、迂闊に口を開けません。
それに、そもそも私にはプリントの文章の意味がほとんどわからず、読むのに必死でとても相談どころではない状態。急げば急ぐほど、内容が頭に入ってきません...
辞書は使ってはいけないことになっているので、せっかく持って行った電子辞書はカバンの中で幽閉状態。うーん、記憶力総動員するしかありません。
私には、先生の言っていることに反応するよりも、プリントの問題の方が難しい〜!!
グループのうち、私のとなりに座っていた女性がけっこうできる人だったので、彼女の助言を受けてなんとか完成させますが、内容の完全理解は、ほぼ不能。
その後、クラス全員で答え合わせをして、これが実はこの後に観るビデオの内容理解のための下準備であることがわかりました。
◆ビデオはCNNニュースの1つの題材で、だいたい2〜3分のものでした。
まずは音声を消して、映像だけを観て、何についての問題を扱っているか?という予測を立て、それをまた発表し合います。
映像は、どこかアジアの国(タイでした)で、猿が昼時の小学校に餌を求めて乱入し、学校を困らせている...というような内容に見えました。
そのことを、また発言し合って、授業は進みます。
その後、音声をつけて映像を観ます。
「では、アナウンスを聞いて、さらにどんなことがわかりましたか?」
その後は、記載されている左側の文章を右側につなぐ;内容詳細の確認です。
続いて、ニュースの中で頻度を表わす副詞が、どの項目で使われていたか問う質問。
問題として書かれているイベント(例えば、猿は学校にやって来る)を、
Never<Occasionally<Sometimes<Often<Mostly<Always
から選びます(ここでの答えは、Always)。
最初、私は、これはニュースを聞いて得た情報から予想する問題だと思っていたのですが、問題を完成させてから改めてビデオを観ると、どの項目に関しても、実はちゃんとアナウンサーがこの副詞を喋っていたのです。物語を創るわけではあるまいし、予想する問題なんか出ないか...(苦笑)
自分がまったくその言葉を聞き取れていなかったということがわかり、愕然としました。
そして、最後に内容要約の穴埋め問題です。文章の中に、予め挙げられた単語を入れていくのですが...これが難しくて、答え合せをしたら、16問中で私が合っていたのは2つほど。
こうして、息つく間もなく怒濤の80分模擬レッスンは終わりました。
...ま、参りました! アッシをアンタの弟子にしてくだせぇ!
これだけ理路整然と内容理解状況を突き付けられると、自分がいかに「わかったつもり」になっていたか、思い知らされます。
CNNを観て「わかる」と思っていたことは、音声を聞かなくてもわかること...映像の情報だけで理解していたことだけだったなんて。。
◆それにしても、英語には、日本に居ても迷うほどの英語スクールがあり、しかもこういうレッスンをしてくれるスクールがあって、本当に羨ましい限りです。
ポルトガル語では、入校前にレベルチェックをし、授業中には「学ぶ言語以外は決して話さない」を徹底し、授業中の発言を重視したレッスンを行っている学習機関を、私は今のところ日本では知りません。
あるとしたら、リオで私が短期受講した、ブラジルの大学の講座です。
思い返してみると、レベルチェックも、テスト方式も、授業の進め方も、S校と非常によく似ています。
4年前、軒並み発言するクラスメートの気迫に押され、あえて私まで話さなくても...と思って押し黙っていた私は、さながら今日、まったく一声も発しなかった彼女たちのようです。外国人のクラスメイトと先生の全員に「何故発言しないのか?」と散々言われたものでした。
また、ビデオを使った授業では、あまりに内容が難しく、まったく理解できない=発言できないまま、呆然としていることも多かった(わかったのは、カエターノがブラジル音楽について語っているものだけで、それだけに私が反応したので、皆に面白がられました)ので、この授業についていけたら、どんなにかいいだろうと思った事を、ぼんやり思い出したのです。
◆体験レッスンの最後に、英語実践コースについての説明があり(なんと、これも英語でした)、
その際に先生は、
「ここの学校では、1ターム終了後にレベルを上げるためには、3分の2以上の出席、
期末テストでの一定点数のクリア、そして何よりも授業への参加状況を一番重視します」
と付け加えました。また、宿題もそれなりに出て、それは必ずしも英語の勉強というものではなく、扱うトピックの背景を調べたり、関連事項の調査をしてくるというのも含まれている、との事でした。
それを聞いて私は「あぁ、自分はこんな授業を受けたいと思っていたんだなぁ」とあらためて思ったのです。
私がやりたかったのは、「英会話の練習」ではなくて、「英会話を使った授業」だったんだ、と。
英語・英会話ができても、それは単にツールでしかないのです。その英語で何を伝えるか?が重要で、そのためには自分の中にある情報や知識が必要。日本語でも話せない内容を、英語で話せる訳がありません。現場では、辞書を引いたり、考え込んでいる時間など、誰も待ってくれないのですよ。。
また、実際に外国で仕事をしたり、大学に通うことになると、自分の意見を堂々と主張できる(それが、たとえ見当違いであっても)というのは、英語ができる・できない以前の問題で、非常に大切な事と位置付けられています。
でも、実は日本人にとっては、これが一番難しいのではないでしょうか?
打てば響く反応を求められても、欧米人とは育ってきた環境が違うので、やっぱりすぐには変われませんよね。その”奥ゆかしさ”が日本人の良さでもあるわけで...
「あんまり立て続けに発言すると、またか、と思われる」、「わざわざ言って、間違っていたら笑われる」、「さっきも発言したから、今度は黙っていよう」と、ついつい遠慮してしまうとか、そんなのは、外国人には全く理解してもらえないんだろうなぁ!
日本人の多くは、「皆が発言しないなら、しょうがないから」と背中でも押されないと、なかなか初対面の人を前に、自らしゃしゃり出て意見を言うなんてことはできないものですよね(例外もありますが)。
でも、リオでの体験を経て、思ったのです。
外国語を話す時は、日本語を話す時と人格が変わっても構わない、と。
いや、むしろ、そこの土地の言葉を話すなら、言語回路を切り替えて、発言形式そのものを変えることが必要なのです。
このスクールなら、日本に居ながらその訓練ができると思えたので、私はS校に通うことを決めました。
そして、長い1日は終わりました。
◆体験レッスンに参加したことで、もう1つわかった事;
私がなぜレベル3になったのか?
それは「間違いも気にせずに、図太く喋るから」でしょう。
レベル1〜3の判定は、「話そうとするか、しないか」の度合いによってかなり左右されるのでは??
体験レッスンの筆記問題に関しては、私なんかよりも、ずっとできていた人が沢山いたでしょう。
きっと、フリーズ状態だった人々は、発言スタイル重視の授業に戸惑っていただけだと思います。
それを裏付けるかのように、最後のアンケートで、ほとんど授業中に呆然としていた私の前の女性は
「今日の体験レッスンのレベルは、あなたにとってはいかがでしたか?」の質問に、
「ちょうど良かった」に○をしていたのです(チラ見してしまった)。
私は迷わず「思ったより難しかった」に○をしていたので、ビックリ!
そうですか、ちょうど良かったですか...
しかし、レベル3と、中級扱いのレベル4との差は、かなりありそうです。
私が待合い室で会ったスゴイ人々は、体験レッスンにはいませんでしたから...ね。
体験レッスン終了時に、ビデオで流れていた音声をすべて文字にした完成版プリント(スクリプト)をもらったので、後日それを読みながら、すべてので問題を再度やってみたところ、電子辞書を使いまくって内容理解に1時間かかり、それでもわからなかった箇所が数カ所ありました。
「性格」で実力よりも高いクラスに入ってしまった私は、この調子じゃ、かなり苦労することになりそう...でも、チャレンジは望むところ!
◆今回、1話1話書くにつれ、色々な方から共感のメールをいただきました。
中には私と同じ様に、
「英語は嫌いで、他の言語から外国語に入り、それで仕事をしていたら、気がついたら英語が前よりできるようになっていた」という同様の体験を寄せてくださった方もいらして、先を歩む先輩方の言葉は重く、とても勇気づけられました。
結局は、外国語で考えるコツは、別に英語じゃなくても、何語でも習得できるようです。
なんとか、この第1の壁(=言語回路の切替)を突破した程度の私ですが、「第2の壁を越えられる頃には、ポルトガル語の今の壁もぶち抜けているだろう」という先輩からの嬉しいお告げもいただきました。ポルトガル語も上達できるなら、まさに一石二鳥〜!
開講はいよいよ4月からです。
授業について行けなかったら、またブログネタにしますので、どうぞお楽しみに〜!(完)