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2019年07月07日

ジョアン・ジルベルト、永眠。

今朝、何気なくネットのニュースを見ていたら、「ボサノバの父、死去」の文字が飛び込んできました。
ジョビンもヴィニシウスも亡くなっているし、これはもう...と思って開いてみると、
やはりジョアンの訃報でした。

享年88歳。
死因は明らかになっていませんが、レブロンの自宅で6日、家族や友人と共に最期の日を迎えたようです。

2008年のリオでのコンサート以来、公の場にめっきり姿を現わすことがなかったジョアン。
日本でも4回目のコンサートが中止になり、
おそらくもう来日は不可能なんだろうなと思ってはいましたが、
いや、もしかして...というわずかな希望を持っていたファンも多かったはずです。

日本でのジョアンのニュースは、ほんの小さくしか出ていませんでしたが、
アメリカのニュースサイトでは大々的に取り上げられていて、
ジョアンの音楽人生が非常に正確かつ端的にまとめられて書かれていました。

ブラジルのニュースサイトでは訃報と共に、
亡くなる約1ヶ月前に家族と一緒に撮影した珍しい写真も公開されていました。
日本のコンサートで観たジョアンとは別人のように痩せてしまっていましたが、
お孫さんの可愛らしいフェイスブック?の投稿と、
ソファに座ってお孫さんにギターを弾いてきかせている微笑ましい写真などもあり、
きっと日常では良いおじいちゃんだったんだろうな、と想像します。

ブラジルで「ジョアンのファンだ」と言うと、
「どうして? 彼は曲を書いていないじゃない!」と言われることが多く、
ブラジル人は作家に敬意を払う傾向が強いように感じました。

確かにジョアンは作曲家、作詞家ではありません(わずか数曲しか作っていない)が、
優れた編曲家、歌手、ギタリストです。
そして、間違いなく音楽界の唯一無二の存在です。

もうジョアンが星になってしまったのだと思うと、じわじわと寂しさがこみ上げます(涙)。
でも、ジョアンのおかげでボサノバという素晴らしい音楽に出逢い、
そこに人生の指標を見出した者として、大きな感謝と敬意を表したいと思います。

ジョアンの音楽は永遠です。
たくさんの人々によって、これからもずっと歌い弾き継がれていきます。
私も、そうしていきます。

最後に、きっとボサノバファンなら皆、同じ気持ちであろう、
お孫さんのSofiaさんの言葉を引用します。
Amo ele demais e vai estar sempre no meu coração e na minha vida.
(大好きなおじちゃん、これからもずっと私の心の中に居てね)



そして奇しくもこのタイミングで今年8/24から、
「ジョアン・ジルベルトを探して」というドキュメンタリー映画が公開されるそうです。
この映画を観ながら、あらためてジョアンを追悼したいと思います。