「ひとに」
突然ですが、みなさんは誰かとの待ち合わせの時間まで
3時間空いてしまったら、どうしますか?
私は、本屋へ行きます!
ミュージシャンとしては、レコード店へ行く方が良いのかもしれませんが(^^;
うーん、やっぱり本屋です。
そして何か好きな1冊を選んで、カフェでゆっくり読むでしょうね。
映画好きなら、ふらっと映画館という方もいらっしゃるかな。
長編、短編問わず小説が大好きな私でありますが
なかなかまとまった時間が取れない最近では、
短い時間にサッと読める詩集を主に楽しんでいます。
そんな中、「祝婚歌」「夕焼け」などで有名な詩人;吉野 弘氏の詩集
『二人が睦まじくいるためには』に収められている
「ひとに」という詩を見つけました。
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「ひとに」吉野 弘
美しいひとよ
あなたの美しさはあなたのものに相違ないけれど
あなただけの所有ではなく
あなたの美しさを愛するひとすべての
所有であることを
あなたに教えたのは私だ
美しさを愛するすべてのひとは
美しさが誰のものであれ
遠慮なしにそれを愛し所有していいので
あなたも
たくさんのひとから愛されることを
拒むことはできない
だから あなたが
やさしさをこめて
誰彼の区別なしに美しさを分かち
たくさんのひとの賞賛するにまかせ
所有されるままになっているのは
素直なあなたにふさわしい振舞いに違いない
私はこのことについて
今更 私の言葉を改めるつもるは
毛頭もなく
私も
あなたを愛するたくさんのひと
そのうちの
一人であるにすぎず
一人であることに満足せねばならないのだけど
今一度
私の親身な教訓を聞いてもらいたい
与えるにしろ
受けとるにしろ
完璧なひとつでなければならないもの
つまり 心
に限っては
至るところの多くのひと
分け持たせるというわけにはゆかず
唯一人をえらばなくてはならぬ
ということがそれだ...
ー以下、略ー
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読みながら、不思議な感じがしました。
んん? 初めて読んだのに、なんだか初めてのような気がしない??
なぜなら...そう、「イパネマの娘」の歌詞と
よく似た言い回しがあったからなのです。
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「イパネマの娘」
作詞:ヴィニシウス・ジ・モライス
(訳:柳沢暁子)
ほら、魅力溢れた美しい少女が
甘いリズムで 海沿いの道を歩き
通り過ぎて行く
イパネマの太陽の下で
金色に輝く彼女の体は
まるで歌うように揺れる
それは 僕が今までに見た
何よりも美しい
あぁ どうして僕は
こんなに孤独なのだろう
あぁ どうしてすべてが
こんなに哀しいのだろう
あの美しさは僕だけのものではなく
そしてまた 彼女もひとり
通り過ぎて行くだけ
あぁ もし彼女が
自分がみんなの前を通り行くだけで
世界中が優雅さと愛に溢れ
何よりも美しくなるということを知っていたならば
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もちろん、吉野氏の詩とヴィニシウスの詩は
言わんとする事は違うのですが、
男性の”美しい人に対する想い”というのは、世界共通なのかもしれません。
女性も男性に対してこのような気持ちを抱くかなぁ〜?(^^;
日本の詩人と言えば、宮沢賢治、金子みすゞ、谷川俊太郎、茨木のり子...
他にも素敵な方がたくさんいらっしゃいます。
吉野氏の詩は、愛情について非常に繊細に捉えている点に魅かれました。
ご興味ある方は、詩集を『二人が睦まじくいるためには』を入手して
ぜひ全編を読んでみてください(^^
●近所に、除草のために春夏の期間限定で
ヤギを放牧している広場があります。
子供たちだけでなく、大人にも、散歩中の犬にも大人気!
動物というのは、そこに居るだけでみんなを癒してくれますね。